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“止まらない集中”が子どもを疲れさせる?——発達特性と過集中を支えるヒント

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◆ 「気づいたら夜中まで…」——それは“やる気”ではなく“過集中”かもしれません

「一つのことに熱中しすぎて止まらない」
「休憩を促しても全く聞いてくれない」
「気づいたら朝から何時間も同じことをしている」
こうした子どもの様子に、心配を感じて受診されるご家庭が、吹田市の心療内科でも増えています。

一見「熱心」「集中力がある」と見える状態でも、
それが自分の意思でコントロールできないレベルで続いてしまう場合、
発達特性のひとつである**「過集中」**の可能性があります。

◆ 「過集中」とは——ADHDやASDに見られる脳の傾向

「過集中」とは、ある特定の対象に異常なほど注意が集中し、それが長時間持続してしまう状態を指します。
これは「努力」や「頑張り」ではなく、脳の情報処理の特性によるもので、主に以下のような子どもに見られます。

🔹 ADHD傾向の子ども
  → 注意力のムラが大きく、興味のあることには異常な集中を見せる一方、興味のないことには全く集中できない。

🔹 ASD傾向の子ども
  → 興味関心が偏っており、「好きなこと」に対して深く没頭する。
  → 切り替えが非常に苦手で、止められるとパニックを起こすことも。

◆ 過集中の“メリット”と“リスク”

メリット:高い集中力と没入感によるスキル習得
  → プログラミング、楽器、イラスト、電車の路線図、宇宙、昆虫など、好きな分野で非常に高い能力を発揮することがあります。

リスク:疲労・生活リズムの乱れ・心身の不調
  → 睡眠不足、食事忘れ、水分不足、眼精疲労などが続き、体調を崩しやすくなるケースも見られます。

人間関係への影響
  → 過集中が続いて周囲の話が聞けない、相手の表情に気づかないなど、誤解やトラブルにつながることもあります。

◆ 北摂地域の教育現場でも注目される“集中の波”

北摂エリアの教育関係者の間でも、
「過集中とその反動」に対する理解が広がりつつあります。

たとえば――

 ・授業中は静かに取り組めるが、終わると一気に崩れる

 ・宿題は完璧にやるが、翌日疲れて登校できない

 ・得意教科は突出しているが、苦手教科はゼロに近い

こうした**“集中の波”の背景にある脳の特性**を理解し、学校と家庭が連携してサポートする体制づくりが求められています。

◆ 吹田市の心療内科で行っている過集中への支援とは

「ゆうゆうからだとこころのクリニック」では、
過集中を「抑える」のではなく、「上手にコントロールする」ことを目標に、以下のような支援を行っています。

感覚・行動リズムのモニタリング
  → 過集中が起きやすい時間帯や活動内容を本人・保護者と一緒に確認し、前兆に気づく視点を育てます。

“切り替え”の練習
  → タイマー、音楽、ルーティンなどを用いて、「終わり」を意識させるトレーニングを行います。
  → 急な遮断はストレスになるため、段階的な切り替えがポイントです。

医療的サポート(必要に応じて)
  → ADHDに伴う過集中が強く、生活に支障がある場合は、お薬(例:ストラテラ、インチュニブなど)を検討することもあります。

◆ ご家庭でできる3つのアプローチ

🔸 1. スケジュールに「休憩」を組み込む習慣を
   → 「好きなことに夢中になりすぎてしまう」ことは子どもの強みでもあります。
   → “遊びにも休憩が必要”という視点を共有していきましょう。

🔸 2. 一緒に“スイッチの切り方”を考える
   → 「10分前に声をかける」「終わりの音楽を決める」など、自分でコントロールできる手段を一緒に考えることが大切です。

🔸 3. 成功体験とつなげる
   → 「昨日は自分で止められたね」「30分で切り替えできたね」など、小さな成功を喜び合うことが自信につながります。

◆ “過集中”は、子どもたちの個性のひとつ

「集中できるっていいことじゃない?」
もちろん、集中力は素晴らしい能力です。

ただしそれが**“止まらない集中”になってしまったとき**、
子どもたちは気づかないうちに心も体も疲れ果ててしまいます。

吹田市や北摂エリアでは、こうした特性に理解のある教育機関や医療機関が少しずつ増えてきています。
もし、「この集中力、ちょっと心配かも」と感じることがあれば、
ぜひ心療内科など専門の支援を活用してください。