「イライラが止まらない」——児童思春期の怒りとどう向き合うか
◆ 思春期の“イライラ”はコントロールできない?
「些細なことで怒り出すようになった」
「親の言うことに反発ばかりしてくる」
「物に当たる、無言になる、急に怒鳴る」——。
吹田市の当院にも、こうした“怒り”をめぐる相談が、児童思春期の保護者から頻繁に
寄せられています。
思春期の子どもの「イライラ」は、単なる反抗ではなく、心と脳の成長にともなう一
時的なアンバランスとして理解することが大切です。
◆ 怒りの裏側にある“わかってほしい”気持ち
怒りの感情は、氷山の一角です。
その下には、「不安」「悲しみ」「寂しさ」「理解されないつらさ」などの感情が隠
れていることがほとんどです。
思春期は、自我が強くなり、自分なりの考えや正義感が芽生える時期。
でも、それをうまく言葉にできなかったり、思い通りにいかない現実とのギャップに
苦しんだりします。
その“葛藤”が、時に怒りとして噴き出してしまうのです。
例えば、こんな場面があります:
・勉強に集中したいのに、うまくいかない焦り
・ 友達との距離感がつかめず、孤独を感じる不安
・親に認めてもらえない、という悲しみ
これらはすべて、「わかってほしい」という強い願いの表れでもあります。
◆ 親が怒り返してしまう前に
「そんな態度をとるなら、もう知らない!」
「なんでそんなに怒ってばかりいるの!」——
つい親も感情的に返してしまうのは、ごく自然なことです。
しかし、思春期の子どもにとって重要なのは、“怒りを出しても見捨てられない”とい
う安心感です。
だからこそ、大人は感情をぶつけ合うのではなく、“受け止め方”を変える視点が必要
になります。
例えば:
・ 怒りの言葉を「困ってるサイン」として受け取る
・ 叱る前に「何があったの?」と聞く余裕を持つ
・ 話を無理に引き出すのではなく、「近くで見守っているよ」という姿勢を保つ
吹田市で暮らすご家庭の中にも、こうした“怒りとの付き合い方”を通して、親子関係
がより安定してきたケースがあります。
◆ アンガーマネジメントは子どもにも有効
当院では、児童思春期のお子さんを対象に、**「怒りをコントロールする力=アンガ
ーマネジメント」**のサポートも行っています。
子ども向けには、難しい言葉ではなく、次のようなステップで進めていきます:
1. 怒ったときの身体の反応に気づく
(手が震える、呼吸が浅くなるなど)
2. 「今、怒ってるかも」と自覚する練習
3. 怒ったときにできる“選択肢”を持つ
(深呼吸をする、別の場所に移動する、言葉にして伝える)
このようなステップは、学校生活や家庭内トラブルの予防にもつながります。
◆ 発達特性が背景にある場合も
怒りが頻繁だったり、爆発の仕方が極端だったりする場合、**発達特性(ASDや
ADHD)**が背景にあることも少なくありません。
特にASDでは、「相手の意図がわからないことへの混乱」や「予定が崩れたときの不
安」が怒りにつながることが多く、
ADHDでは、「思いついた感情がすぐに表に出てしまう衝動性」が関係していること
があります。
当院では、必要に応じて心理検査や専門医による評価を行い、本人の“怒りやすさ”の
背景を丁寧に探っていきます。
吹田市の教育現場とも連携しながら、本人の特性に応じた支援計画をご提案していま
す。
◆ 「怒っている子」に寄り添う社会へ
怒っている子どもを、「手に負えない子」「問題児」とラベル付けするのではなく、
「困っているから怒っているんだ」と理解できるまなざしを社会全体が持てることが
、何よりの支援になります。
イライラしてしまうのは、きっと本人が一番つらい。
その感情に巻き込まれすぎず、でも無視せず、そばにいる大人が静かに支える姿勢が
、本人の回復力を引き出してくれます。
怒りの奥にある本当の気持ちに気づけたとき、
子どもは「わかってもらえた」と感じ、少しずつ変わっていきます。
吹田市で日々子育てに奮闘する皆さまのそばで、私たち医療者も、
その変化を一緒に見守っていければと願っています。