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「友だちができない」って悪いこと?——発達特性のある子の“社会性”を育てるまなざし

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◆ 「友だちとうまくいかないんです」——小さなつまずきの奥にあるもの

「いつも一人でいるみたい」
「空気が読めなくて、トラブルになることが多い」
「友だちとの距離の取り方がわからないようです」

こうしたご相談は、吹田市や北摂地域の小中学校からも多く寄せられます。
特に発達特性(ASD、ADHD、LDなど)を持つ児童思春期の子どもたちは、相手の気持ちを汲むことや、自分の感情をコントロールすることに難しさを抱えることがあり、
その結果、“友だちづきあい”がストレスになってしまうことがあります。

◆ 「みんなと仲良く」は、時にプレッシャーになる

「クラス全員と仲良く」「友だち100人できるかな」という言葉は、
本来は子どもたちを励ますための表現です。

しかし、コミュニケーションに苦手さがある子どもにとっては、強いプレッシャーになり得ます

 ・自分の発言で相手が傷ついたのではないかと悩む

 ・話しかけても無視されたと感じて傷つく

 ・冗談や皮肉が理解できずにトラブルになる

 ・ルールを守らない子に対して怒りが爆発してしまう

このような体験が重なると、子どもは「自分はおかしいのでは」と自信を失い、自己否定感や孤独感を強めていきます。

◆ 発達特性のある子どもがつまずきやすい“社会性”の場面

社会性とは、「他人と一緒にうまくやっていくための力」のことです。
発達特性のある子どもは、以下のような場面でつまずきを感じやすい傾向があります。

🔹 1. 相手の気持ちを想像するのが難しい(ASD傾向)
  → 相手の表情や言葉の裏の意味を読み取るのが苦手。
  → 「悪気はないのに怒られた」と感じてしまうことも。

🔹 2. 衝動的に行動・発言してしまう(ADHD傾向)
  → 頭で考えるより先に行動してしまい、トラブルの原因になりやすい
  → 話の途中で遮る、順番を守れないなども、誤解されがち。

🔹 3. 言葉で気持ちを伝えるのが難しい(LD傾向)
  → 「ごめんね」や「こう思った」など、感情を言語化する力に弱さがあると、誤解が深まりやすくなります。

◆ 心療内科での支援——「うまくやる」より「わかってもらえる安心感」を

ゆうゆうからだとこころのクリニックでは、
友人関係に悩む発達特性のあるお子さんに対し、無理に適応させるのではなく、「安心して自分らしくいられる場所」を増やすことを大切にしています。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)
 → ロールプレイや絵カードを使って、「ことば」「表情」「タイミング」の練習を行い、失敗しにくい人間関係の基礎づくりを支援します。

感情を言葉にする練習
 → 「今、どんな気持ち?」を色や温度で表現したり、イラストや表で可視化する工夫を取り入れています。

家族・学校との連携
 → 家庭や学校でも本人の特性を理解してもらえるよう、医師からのフィードバックや支援計画の提案を行っています。

◆ 保護者としてできる“寄り添い”のかたち

🔸 1. 「一人でも大丈夫だよ」と伝える
 → 無理に友達を作らせようとせず、「一人の時間を楽しめることも才能」と肯定する姿勢が大切です。

🔸 2. トラブル=悪ではないと考える
 → 友人関係の失敗は成長の糧。
 → 「どうして怒らせたの?」「何て言えばよかった?」と一緒に振り返ることで、経験を学びに変えるサポートができます。

🔸 3. 居場所を広げる
 → 学校以外にも、放課後等デイサービス、ボランティア、地域の習い事など、多様な関係性を築ける環境を探してあげましょう。

◆ 最後に——“友だちの数”より、“安心できるつながり”を

子どもにとって「友だちづきあい」は、心を育てる大切なステージ。
でも、それは“数”や“仲良し度”で測るものではありません。

「この子は、この子なりのペースで関わりを育てている」
そんなまなざしが、発達特性のある子どもたちに安心と自信を与えてくれます。

吹田市や北摂地域で、友人関係に悩むお子さんや保護者の方がいらっしゃいましたら、
どうぞ心療内科など専門機関にお気軽にご相談ください。