「学校が怖い」——言葉にできない不安と、子どもたちの心のSOS
◆ 「行きたくない」ではなく「行けない」子どもたち
「ただの甘えなんじゃないか…?」
「休ませてばかりでいいのかな?」
「何がつらいのか話してくれない…」
吹田市の保護者の方々から、こうしたご相談を受けることが少なくありません。
児童思春期になると、「学校に行けない」ことへの悩みが表面化しやすくなります。
しかし、多くの場合、これは“サボり”ではなく、「行きたくても行けない」ほどの不安や苦しさを抱えているサインです。
子どもたちの中には、「学校が怖い」とすら感じてしまうほどのプレッシャーを抱えている子がいます。
それは、単に「授業がつまらない」「友だちがいない」といった理由だけではなく、もっと深い感情の問題が関係していることもあるのです。
◆ なぜ学校が怖くなるのか?
「学校が怖い」と感じる背景には、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。
・先生や同級生との関係に緊張感がある
・失敗したくない気持ちが強く、常に不安を感じる
・完璧主義で、ミスを許せない性格
・教室のざわざわや音がつらく感じる(感覚過敏)
・自分のペースで動けないことへのストレス
・通学中の混雑や集団行動への不快感
こうした背景があっても、本人がそれを言葉でうまく説明するのは難しいものです。
「なんで?」と聞かれても、「わからない」「とにかくムリ」としか答えられない子も多くいます。
とくにASDやHSP傾向を持つ子どもは、見えないストレスに日常的にさらされており、それが蓄積して“学校恐怖”につながることがあります。
◆ 朝になると出る“身体のサイン”に注目を
子どもによっては、学校の話をすると…
・頭が痛くなる
・お腹が痛い
・吐き気がする
・無口になる・涙が出る
・玄関で固まって動けない
といった身体症状や行動の変化が見られることがあります。
これは決して「仮病」ではなく、心が限界を超えそうになっていることのサインです。
吹田市の教育現場でも、こうした症状を理解しようとする動きは進んでいますが、まだまだ「本人の頑張り不足」と誤解されがちな場面もあります。
まずは家庭で、「無理をさせない」「症状を責めない」環境づくりが大切です。
◆ 無理に登校を促さない勇気
親としては「行ってほしい」と思うのが自然ですが、無理やり登校させることは、長期的に見ると逆効果になることがあります。
・子どもがさらに自信を失う
・家庭が“戦場”のようになってしまう
・心の傷が深くなり、トラウマになる
大切なのは、まず子どもの心を安全な場所で回復させること。
吹田市には、適応指導教室やフリースクール、訪問型の学習支援なども整備されつつあります。
「学校に戻ること」だけをゴールにせず、「学び方・育ち方には多様な道がある」という視点を持つことが重要です。
◆ 当院での支援:学校への不安と向き合うサポート
ゆうゆうからだとこころのクリニックでは、学校への不安を抱えるお子さんや保護者の方に対して、以下のような支援を行っています:
・心理士による不安の整理・可視化
・発達特性や感覚過敏の有無の評価
・ご家族への対応方法のアドバイス
・必要に応じた通院証明や学校への連携
・医療と教育の橋渡し(スクールカウンセラー・担任との情報共有)
「学校に行くことよりも、安心して過ごせる時間を確保すること」
それが何よりも大切な支援のスタートです。
◆ “がんばる”のではなく、“回復する”ための時間を
思春期の子どもが学校に行けなくなると、
親はつい「どうにかしなくては」と焦り、子どもは「期待に応えなければ」と追い詰められてしまいます。
でも、まずは立ち止まってみましょう。
・「今は回復の時間だよ」
・「あなたの気持ち、大事にしていいよ」
・「無理しなくて大丈夫。応援してるよ」
そんな言葉を、安心できる空間で届けていくこと。
それが、子どもたちの“心の充電”につながります。
吹田市の地域の中で、私たちは子どもたちの声なきSOSに、そっと耳を傾け続けていきたいと思います。