“こだわりが強い子”——感覚と安心のあいだにあるもの
◆ 「絶対これじゃないとイヤ!」「いつもと違うと混乱する」
・靴下の素材やタグの位置に極端にこだわる
・食べ物の順番、食器の配置にうるさい
・服の肌触りや袖の長さを何度も気にする
・遊びや行動のルールが少しでも違うと癇癪を起こす
・「いつも通り」が崩れるだけで一日中不機嫌になる
吹田市・北摂地域でも、「この子、なんでこんなに細かいことにこだわるの?」
「少しぐらい違ってもいいじゃない」と困り顔の保護者の声をよく耳にします。
でも、その“こだわり”は、単なるワガママや性格の問題ではなく、
**“自分を守るための感覚的な安心の枠組み”**であることが少なくありません。
◆ “こだわり”は、感覚過敏と予測不安の合わせ鏡
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行動としてのこだわり |
背景にある理由 |
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洋服のタグを嫌がる |
触覚過敏による不快感 |
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音への過敏な反応 |
聴覚過敏・予測不能な音への恐怖 |
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食べ物の形や色に敏感 |
味覚・視覚へのこだわりと不安の回避 |
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同じ順番でないと不安になる |
見通しの喪失が不安を呼び起こす |
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毎日同じルーティンを求める |
変化への適応が困難/安心の構造が崩れる恐れ |
つまり、こだわりの背後には「感覚の鋭さ」と「構造の安心」が深く関係しているのです。
◆ 北摂の事例:年長女子の「着替えができない朝」
北摂地域の保育園に通う年長の女の子。
毎朝「このシャツじゃなきゃヤダ!」「そのズボンじゃチクチクする」と言って着替えを嫌がり、
登園に30分以上かかる日が続いていました。
最初は「わがまま」だと受け止められていましたが、
丁寧に関わる中で、本人の口からこんな言葉が出てきました。
「ちょっとでもチクッとすると、ずっとそこにしか気がいかなくなる」
「新しいのは、どうなるか分からなくて怖い」
これは、感覚刺激と予測不能な状況に対して、非常に繊細に反応している子どもの防衛行動でした。
◆ “こだわり”は、「自分を守るための枠組み」
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表に出る行動 |
裏にある心理 |
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細かなルールを自分で決める |
世界を自分の手におけるようにするための工夫 |
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いつもと同じでないと不安 |
日常の構造が崩れることで「自分を失う」感覚 |
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変更・予告なしの出来事にパニック |
見通しが持てないと、混乱や恐怖が先行する |
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「絶対にこれじゃないとイヤ!」 |
不快感を避けるために“選択の余地”を排除している |
こうした子どもたちに必要なのは、
**「こだわりをやめさせること」ではなく、「こだわらなくても安心できる経験を少しずつ増やすこと」**です。
◆ 吹田市の心療内科での支援:“感覚の地図”を一緒に描く
「ゆうゆうからだとこころのクリニック」では、
こだわりが強い子どもたちに対して、以下のような支援を行っています。
🔹① 感覚の特徴を“言語化”して共有する
→「タグがチクチクして気になるんだね」
→ 子ども自身が「自分はこういう感覚を持っている」と認識する第一歩になります。
🔹② “同じ”の中に少しだけ“違い”を入れる練習
→ 例:いつもと同じ靴下だけど、色だけ変える
→ “変化を入れても大丈夫”な経験を少しずつ積み重ねます。
🔹③ 変更や初体験は「事前予告+選択肢つき」で導入
→ 「明日は違うズボンだけど、どっちがいい?」
→ 変化を“自分で選べた”という感覚が、不安を軽減します。
🔹④ 感覚刺激を調整できる“安全アイテム”を一緒に探す
→ ノータグ衣類、柔らか素材の靴下、音を遮るイヤーマフなど
→ “刺激を自分でコントロールできる”体験が、こだわりの幅を広げます。
◆ ご家庭でできる3つの工夫
🔷 ① 「わがまま」と思わずに“感覚の困りごと”として聴く
→「また始まった!」ではなく、
「それ、どんな感じ?」「どこが気になるの?」と丁寧に聴いてみる。
🔷 ② ルーティンの一部変更は“事前予告+選択可能な形”で
→「今日の予定ちょっと違うよ。でも、ここは変わらないから安心してね」
→ 不安の芽を最小限にする工夫が重要です。
🔷 ③ こだわりを“悪いもの”とせず、その先の世界を少しずつ広げる
→「そのこだわり、大事にしてるんだね」→「ちょっと違うのも試してみる?」
→ “尊重された感覚”の上にこそ、変化を受け入れる力が育ちます。
◆ こだわりの奥には、“自分を守る感覚の地図”がある
子どもの強いこだわりは、
未熟さでも、わがままでもなく、
**“まだ不安定な心身を、外の世界とつなぐためのナビゲーション”**なのです。
それを無理に矯正するのではなく、
“自分の感覚と折り合いをつけながら、生きやすくなる工夫”を一緒に探していくことが大切です。
吹田市・北摂地域で、私たちは
こだわりの強い子どもたちの「感覚」と「安心」のあいだに橋をかけ、
“その子らしく安心して過ごせる世界”を育てる支援を続けています。