“ことばが遅い子”——発達のテンポとコミュニケーションの芽
◆「まだ単語しか話さない」「2語文が出ない」——ことばの発達に悩む保護者へ
・同じ年齢の子と比べて発語が少ない
・指差しや身振りはするが、ことばでのやりとりが難しい
・親の言っていることは理解している様子
・「男の子だから遅いだけ」と言われるが不安が拭えない
・周囲の視線や言葉が気になり、育児に自信を失っていく
吹田市・北摂地域でも、「ことばが遅いのでは?」という相談は非常に多く、
1歳半健診や3歳児健診をきっかけに来院されるご家族も少なくありません。
しかし、“ことばの遅れ”という現象は、単なる発語の量ではなく、
“その子のコミュニケーション全体の発達過程”の一部として理解する必要があります。
◆ 発語は「木の枝」、コミュニケーションは「根と幹」
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見える行動 |
背景にある発達的要素 |
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言葉が出ない |
発音器官の未熟さ/音韻の認識が育っていない |
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ジェスチャーが豊か |
非言語的なコミュニケーションが発達している可能性 |
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親の言葉を理解している |
聴覚処理・言語理解は育っているが、表出が難しい段階 |
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名前を呼んでも振り向かない |
注意の向け方や人への興味の偏りがあるかもしれない |
つまり、「ことばが出ない」ことだけを見て不安になるのではなく、
“ことばの芽”がどこまで育っているかを、全体的に観察する視点が大切なのです。
◆ 北摂の事例:2歳9か月 男児の「指差しは多いけど言葉が出ない」
北摂地域に住むご家庭からの相談。
2歳9か月の男の子で、
「ワンワン」「ママ」などの単語はあるが、2語文は出ていない。
身振りや指差しはとても活発で、家族の話しかけにはしっかり反応する。
母親は「保育園の子たちがペラペラ話しているのを見ると、心配でたまらない」と話していました。
この子は、評価の結果、
・理解言語は年齢相応
・表出言語(自分から話す力)はややゆっくり
・模倣や社会的興味はしっかりしている
というプロフィールでした。
つまり、**「ことばが遅い」のではなく、「ことばが出る前の準備段階が丁寧に進んでいる」**状態だったのです。
◆ “ことばの発達”はテンポもルートも子どもごとに異なる
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タイプ |
特徴 |
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理解型(受容型)優位 |
話はわかるが自分ではあまり話さない/後から急に話し出すケースも |
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表出型優位 |
よくしゃべるが内容が曖昧/言葉の使い方にズレが見られることも |
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ジェスチャー型 |
非言語でのやりとりが中心/他者との関係性には積極的 |
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興味特化型 |
言葉よりモノやパターンに強い関心/人とのやりとりが後回しになる傾向も |
このように、“言葉の量”だけでは子どもの発達の全体像はわかりません。
「話さない」ことが、「伝えようとしていない」こととイコールではないという理解が必要です。
◆ 吹田市の心療内科での支援:言葉よりも“伝わる関係”を育む
「ゆうゆうからだとこころのクリニック」では、
“ことばが遅い”と感じる子どもに対し、以下のような支援を行っています。
🔹① 発語だけでなく“意図の発信”に注目する
→ 指差し・視線・動き・声のトーンなど、
→ “ことば以前の表現”から、子どもが何を伝えたいのかを読み解く
🔹② 保護者との“対話のスタイル”を確認する
→ 大人の言葉が長すぎる/質問攻めになっている——
→ “一緒に見る・感じる・待つ”時間を増やすことで、やりとりの質を高める
🔹③ “ことばが出る場面”を意図的に設ける
→ 絵本・ごっこ遊び・好きなもののやりとりの中で
→ 「伝えたい→言いたい」という動機を自然に引き出す
🔹④ 必要に応じて言語聴覚士との連携も
→ 発達の偏りが大きい場合、ST(言語療法士)による評価・介入を行うことで
→ より専門的な支援の方向性を確認できる
◆ ご家庭でできる3つの工夫
🔷 ①「なんで話さないの?」ではなく、「どうやって伝えてるかな?」に注目する
→ 伝える手段はことばだけではない
→ 表情や身振りも“コミュニケーションの力”として尊重する
🔷 ②「もっとしゃべって」より、「ゆっくり待つ」ことを意識する
→ 話すテンポを急かさず、“子どもが言葉を選ぶ時間”を保障する
🔷 ③ 言葉を教えるより、“一緒に感じる体験”を増やす
→ 公園で風を感じる/おもちゃで同じ遊びを楽しむ
→ 共有体験がことばの土台を育てる
◆ “ことばが遅い子”は、“伝えたいことが育っている途中の子”
だからこそ、
「出ないこと」に焦点を当てるのではなく、
“伝える芽”を丁寧に育てていく視点が必要です。
吹田市・北摂地域で、私たちは
子どもたちの発語の有無にとらわれず、
“伝わる・つながる”喜びが育つ環境づくりを支援しています。