“なんでもマネする子”——模倣の背景にある発達の力
◆「またマネしてる!」と言われがちな子どもたち
・友だちの口癖や仕草をすぐ真似る
・誰かが描いた絵をそのまま描こうとする
・話し方や表現が似てきて、「自分の言葉がない」と言われる
・同じ遊び方ばかり選ぶ
・友だちの回答をそのまま繰り返す
吹田市・北摂地域の保護者の方からもよく聞くのが、
「この子、オリジナリティがないんです」
「どうしていつも他の子のマネばかりするのか」
という戸惑いの声。
けれど実は、“模倣”という行動には、その子の発達段階や安心感の在り処が映し出されているのです。
◆ 模倣とは、発達における“自然な入口”
子どもが他者の動きや言葉をまねるのは、単に「真似したい」からではありません。
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模倣の目的 |
背景にある心理・発達 |
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学びたい |
他者の行動を通して「社会的な正解」を探っている |
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所属したい |
「同じようにすれば仲間に入れるかも」という社会的安心感 |
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自分のスタイルが未分化 |
まだ自己表現の方法が確立されていない |
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不安の軽減 |
自分から何かを生み出すプレッシャーの回避手段 |
つまり、模倣は**「自分になる前の、他人を通した自己形成の過程」**でもあるのです。
◆ 北摂の事例:小1男子の“マネっこコミュニケーション”
北摂地域の小学校に通う1年生の男の子。
クラスで人気の子の発言をオウム返しし、
遊びも常に同じ子の後を追うようにしていました。
担任は「個性が育ってないのかな」と心配していましたが、
よく観察していると、その子は“どのように人と関わればいいのか”を模索していたことがわかりました。
本人の言葉:
「あの子みたいにしたら、仲間に入れる気がする」
「自分のやり方って、よくわかんないから…」
これは、模倣を通じて“自分らしさの輪郭”を探している段階の姿でした。
◆ 模倣が多い子に見られる特徴と意味
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特徴 |
背景にある心の動き |
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オウム返しが多い |
不安が強く、自分の意見を出すのが怖い/ASD傾向 |
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服装や持ち物を友だちに合わせたがる |
集団への一体感が安心材料になっている |
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創作時に他者の作品を写す |
自分の“良い”という判断にまだ自信が持てない |
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同じセリフ・遊びを繰り返す |
安心できるルーティンの中で自分の存在を確認している |
模倣が強く出る時期は、「自分を出さない子」ではなく、
**「どう出したらいいか分からない子」**なのです。
◆ 吹田市の心療内科での支援:“模倣”を自己形成の足場として活かす
「ゆうゆうからだとこころのクリニック」では、
模倣の強い子どもたちに対して、以下のような支援を行っています。
🔹① 模倣=劣った行動ではなく、「安心の選び方」として承認
→「マネするのが悪い」ではなく、
「今はそれが安全に感じられてるんだね」と受けとめます。
🔹② “まね”から“少しのアレンジ”を導入する
→ 例:「今の言い方、Aくんのマネだけど、自分だったらどう言う?」
「その絵、もう少し◯◯くんらしさを足すとしたら?」
→ “オリジナルに触れる導線”を対話的に設けることがポイントです。
🔹③ “あなたの考えが知りたい”という伝え方を徹底
→「どう思う?」よりも、
「それ、◯◯くんが思ったことなんだよね?」と、自分の意見を肯定的に取り上げます。
🔹④ “一人で表現すること”が怖くない場面の設計
→ 例:正解がないワーク、共作で表現できる活動
→ “自己表現の敷居”を下げ、成功体験を積みやすくします。
◆ ご家庭でできる3つの関わり方
🔷 ① マネしたことを責めず、「どう感じた?」と感情に戻す
→「またマネして!」ではなく、
「その言い方、楽しそうだったね」「やってみたくなったんだね」と理解を示す言葉を。
🔷 ② 子どもの「好き」「選ぶ」感覚を引き出す会話を増やす
→「どっちが好き?」「これならどうする?」と、
自分の基準で選ぶ体験を日常の中に織り込んでいきます。
🔷 ③ 模倣を経て“自分らしさ”が育った瞬間を見逃さない
→「あ、それは◯◯くんのアイデアだね!」
→ 気づきと承認が、次のオリジナルを生む土壌になります。
◆ 模倣とは、“自分になるための遠回りな道”
模倣ばかりに見える時期は、
もしかするとその子が**“まだ安心して自己表現できる土壌が整っていない”**というサインかもしれません。
でも、真似を通して得たものは、
やがて“自分という素材”を編んでいく材料になります。
吹田市・北摂地域で、私たちは
模倣を「問題」として切り離すのではなく、
「その子が“自分になる”ために選んだひとつの入り口」として尊重する支援を続けています。