TOPへ

ブログ

“やり直しが苦手な子”——失敗への恐れと完璧主義の影

ブログ

◆「また最初から? もうやらない」「間違えたから、もうイヤ」

 ・宿題やプリントで間違いを指摘されると、癇癪を起こしてしまう

 ・消しゴムで消すのを拒み、用紙ごと破いてしまう

 ・「やり直してごらん」と言われただけで不機嫌になる

 ・一度つまずくと、「もう無理」「もう終わり」と投げ出す

 ・上手くいかなかった体験が尾を引き、次に取り組めなくなる

吹田市・北摂地域でも、「間違いを受け入れられない」「一度つまずくと全部ダメになる」子どもたちの相談が増えています。

それは単なる“わがまま”や“根気のなさ”ではなく、
「失敗」や「やり直し」に対して、心が強く反応してしまう感受性の高さと、
“完璧であろうとする”心理的な防衛戦略のあらわれなのです。

◆ 「やり直し=否定された」と感じる繊細さ

子どもの反応

背景にある認知的傾向

間違いを極端に嫌がる

完璧主義傾向/評価=自分の価値と直結している

間違えたものに触れたくない

ミスした自己像を受け入れられない/自己防衛反応

やり直しに強い拒否反応

「最初から=無駄だった」と感じてしまう/努力の全否定と捉える

「全部できない」と極端な結論に至る

白黒思考/部分の失敗が全体の失敗と等価に見える

このような反応の背景には、失敗=価値の低下/否定/恐怖と捉えてしまう
**“自己価値の不安定さ”**が潜んでいることがあります。

◆ 北摂の事例:小4女子の「一度ダメだったら、もう無理」

北摂地域の小学校に通う4年生の女の子。
算数の問題でミスをすると、答案用紙をくしゃくしゃにして泣き出す。
先生が「大丈夫、もう一回やってみよう」と声をかけても、
「やり直すくらいなら最初からやらなきゃよかった」と頑なに拒否。

彼女がぽつりと語った言葉がありました。

「頑張っても間違えると、全部ダメだった気がする」
「“できなかった自分”をまた見るのがつらい」

これは、“間違えた自分”=“無価値な自分”という感覚の痛みを伴うものでした。

◆ 完璧主義傾向のある子どもに見られる特徴

表面的な行動

背後にある思考

些細なミスにも敏感

「ミス=失格」「ミス=自分の価値が下がる」

成果が出ないと急に無気力

努力が“完璧な結果”に結びつかないと意味がないと思っている

「もういい」と言って投げ出す

プライドが傷つく前に、早めに引き下がることで自尊心を守っている

他人の評価に敏感

自分で自分を認める軸が乏しく、“他人の目”でしか自分を保てない

このような子どもに「大丈夫だよ」「間違えても平気」と励ましても、
“言葉だけでは届かない”ことが多いのが現実です。

◆ 吹田市の心療内科での支援:「やり直し=成長」と結び直す関わり

「ゆうゆうからだとこころのクリニック」では、
やり直しや間違いへの拒否感が強い子どもに対して、以下のような支援を行っています。

🔹① 「やり直し=失敗」ではなく「やり直し=経験値アップ」と再定義

   → 間違いを“修正するもの”ではなく、“学びを重ねるもの”として言語化
    → 「一回で完璧」を求めず、「二回目に深まる」があたり前という認識へ

🔹② “訂正”より“探究”をベースにした課題構造へ

   → 「どこが間違ってた?」ではなく、「このやり方と、あのやり方、どう違う?」と問い直す
    → “正しさの追求”から“多様性の発見”へ転換

🔹③ 成果でなく“取り組み姿勢”を承認する言葉がけを繰り返す

   → 「間違えても、もう一度見てみようとしてたの、すごく良かった」
    → “やり直しに向かう勇気”そのものに価値があることを伝える

🔹④ 他人の“やり直しを通じた成功”に触れる機会を設ける

   → 絵本/動画/ロールモデルなどで、
    “失敗からの学び”を具体的なストーリーとして内面化させる

◆ ご家庭でできる3つの工夫

🔷 ① 間違いを見たときの親のリアクションを工夫する

   → 「あ〜残念」ではなく、
    →「おっ、気づけてラッキー! ここ伸びしろかも」と捉える言葉かけを

🔷 ② “一発で成功しない”ことを一緒に楽しむ遊びや活動を意図的に入れる

   → パズル/料理/折り紙など、「試行錯誤が前提」の体験を日常に
    → “やり直すことが楽しい”という感覚を育てる

🔷 ③ 自分が間違ったエピソードを親自身が自然に語る

   →「お母さんもこの前、メールの添付忘れてね〜」
    → “大人も間違える・それでも大丈夫”というモデル提示が有効

◆ 間違いの先に、“強さ”ではなく“しなやかさ”を育てる

“完璧”でいようとする姿は、強く見えて、実はとてももろい。
“間違えても、折れずに戻ってこられる柔らかさ”こそ、
これからの時代に必要な力です。

私たち大人にできることは、
その柔らかさを育てる「安全な間違い方」「安心してやり直せる関係性」をつくること。

吹田市・北摂地域で、私たちは
“やり直しが怖い”と感じる子どもたちと共に、
“失敗しても戻ってこれる心”を育てる支援を続けています。