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ゲーム・SNS・動画がやめられない——“脳の仕組み”から考える依存と支援

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◆ 「注意してもやめない」——それ、本当に“わがまま”ですか?

「ゲームをやめなさいと言っても聞かない」
「夜中までスマホを見ていて寝不足になっている」
「動画が止まると癇癪を起こす」

こうしたご相談が、吹田市や北摂エリアのご家庭から心療内科に寄せられることが、年々増えてきています。

子どもたちはなぜ、こんなにもゲームやSNS、動画にのめり込んでしまうのでしょうか。
そこには、“意志の弱さ”ではなく、脳の働きの仕組みが関係しています。

◆ 「依存」のカギは“報酬系”と“ドーパミン”

人間の脳には、「快楽」や「達成感」を感じたときにドーパミンという神経伝達物質が分泌されます。
これが、いわゆる**“報酬系”**と呼ばれる仕組みです。

ゲームのレベルアップ・ガチャの成功体験
SNSの「いいね」やフォロワー数の増加
動画の続きがすぐに見られる仕組み(おすすめ・自動再生)

こうした刺激は、子どもたちの脳に強い快楽を与え、「もっと欲しい」「やめられない」という状態を作り出します。

特に、まだ自制力が発達しきっていない小・中学生にとっては、
“やめたいけど、やめられない”状態になるのは当然のことなのです。

◆ 発達特性を持つ子どもほど、のめり込みやすい理由

吹田市の心療内科でもよく見られるのが、発達特性(ADHD、ASDなど)を持つお子さんのメディア依存傾向です。

🔹 ADHDタイプ
  → 衝動性が強く、「今すぐ報酬が得られる」ゲームやSNSの世界に強く惹かれやすい。

🔹 ASDタイプ
  → 現実の対人関係に疲れやすく、一人で完結できる世界(YouTube、ゲームなど)に安心感を抱く

🔹 感覚過敏を持つ子ども
  → 現実の環境が刺激的すぎるため、デジタル世界で刺激を“コントロールできる”ことが心地よい

つまり、「依存しやすい脳の特性」を持っている子どもにとって、
スマホやゲームは**“逃げ場”であり、“安心できる場所”でもある**のです。

◆ 叱るよりも、「一緒に考える」スタンスを

依存的な行動を見て、親御さんが焦りを感じるのは当然です。
しかし、単に「禁止する」「取り上げる」だけでは、かえって問題が悪化することがあります。

叱られた反動で、こっそり使うようになる
「信頼されていない」と感じ、親子関係が悪化する
現実逃避として、ますますネット世界にのめり込む

🔷 むしろ大切なのは、「本人が気づく場面」を作ることです。
  →「長くやりすぎたあと、どんな気分だった?」
  →「終わったあと、体はどんなふうに感じてた?」
  →「1時間以内で終われた日は、何が違った?」

このように、自分自身で気づきを得られるような“対話”を積み重ねることが、依存から抜け出す第一歩です。

◆ 北摂地域でも進む「メディア・リテラシー教育」

北摂の教育現場でも、スマホやSNS、ゲームとの付き合い方を学ぶ「メディア・リテラシー教育」が少しずつ広まっています。

 ・「利用時間を意識する」タイマー活用

 ・「1日1回振り返る」デジタル日記

 ・「自分の気持ちとつながる」ワークシート

学校と家庭、そして医療機関が連携することで、
子どもたちが**“ただ禁止されるのではなく、主体的に使い方を考える”力**を育てることができます。

◆ 吹田市の心療内科でできるサポート

「ゆうゆうからだとこころのクリニック」では、ゲーム・SNS・動画への依存に関して以下のような支援を行っています。

ご家庭との対話支援
  → 保護者の「どう対応すれば?」という悩みに寄り添い、無理のないルール作りを一緒に考えます。

本人へのカウンセリング
  → 強制ではなく、本人の気持ちや背景を理解したうえで関わることを大切にしています。

必要に応じた医療的支援
  → ADHDや不安障害などが背景にある場合には、適切な評価と治療方針を提案します。

◆ 「やめられない」は、努力不足ではなく“対処スキル不足”

ゲームやSNSへの依存は、「頑張りが足りない」わけではありません。
それは**“脳の仕組みに負けてしまうくらい疲れている”**サインかもしれません。

まずは怒らず、比べず、「どうしてそうなるのか」を一緒に考える姿勢から始めてみませんか?

吹田市・北摂地域のご家庭と子どもたちが、
“デジタルと現実のバランス”を上手に保てるように、私たちもサポートを続けてまいります。