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“一人で遊ぶのが好きな子”——孤独と自立のちがいを見極める

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◆ 「集団よりも一人が落ち着く」という子どもたち

 ・休み時間も読書や絵を描いて過ごしている

 ・家でも兄弟と遊ばず、ひとりの世界にこもる

  ・誰かと一緒にいると疲れてしまう

 ・友だちとの関わりがなくても、本人はあまり困っていない様子

吹田市・北摂地域の保護者の方からも、
「うちの子、一人が好きみたいなんです」
「友だちがいないようで心配で…」
という相談がとても多く寄せられます。

でも、ここで重要なのは、
“一人でいる”=“孤独である”とは限らないということ。

むしろ、一人の時間を心地よく過ごせることは“自立”の証拠でもあるのです。

◆ 「孤独」と「自立」のちがい

項目

自立

孤独

状態

一人でも心が満ちている

一人でいて心が満たされない

感情

安心・自由・充実

不安・寂しさ・無価値感

動機

自分の好みによる選択

他者との関係が築けない結果

回復

充電される

消耗する

つまり、「一人が好きな子」には、
“自分だけの世界”で安心感や創造性を育んでいるタイプもいれば、
“他者との関係に傷ついた結果”として一人を選ばざるをえないタイプもいる、ということです。

◆ 北摂の事例:小4男子の「自分の宇宙」に生きる感性

北摂地域の小学校に通う小学4年生の男の子。
毎日休み時間には一人で宇宙の図鑑を読んでいて、
周囲と遊ぶことにはあまり興味を示しませんでした。

担任は「社交性に問題があるのでは」と心配し、
保護者面談が開かれました。

しかし、彼はこう語りました。

「一人でいると、考えごとがよくまとまる」
「宇宙のことを考えてると、楽しくて、時間が足りないくらい」

検査や面談を通じて、彼は非常に高い内省力と創造的思考を持っていることがわかり、
「集団の中で自分らしくいることよりも、“自分の世界”を深めることがエネルギー源だった」
という気質が明らかになりました。

◆ “一人を好む”背景にある4つのタイプ

タイプ

説明

       対応のポイント

内向型

刺激の少ない環境で充電する気質

一人の時間を尊重しつつ、他者との交流の機会も提示

感覚過敏型

音・におい・光などに敏感で集団がしんどい

環境調整と共感的理解を優先

傷つき体験型

過去に友人関係で傷ついた経験あり

安心できる少人数からの再スタート

ASD傾向型

社会的なやりとりへの理解・調整が難しい

スキル支援と“合う関係”の探索

子どもの“ひとり時間”がどこから来ているのか、
「孤立」ではなく「選択」であるかどうかを丁寧に見極めることが必要です。

◆ 吹田市の心療内科での支援:一人の時間も“関係の中”にあるものとして扱う

「ゆうゆうからだとこころのクリニック」では、
一人でいることそのものを問題とせず、
“その子にとっての安全・喜び・興味”の文脈で理解することを重視しています。

🔹① 「一人=ダメ」と伝えない環境づくり

   → 「もっと友だちと遊びなさい」ではなく、
    「あなたが落ち着ける方法を知ってるんだね」と肯定するスタンスをとります。

🔹② 他者とつながれる“安心な導線”を準備

   → 一人でいる子にも、**自然と混ざれる形の活動(観察係、絵の紹介など)**を提案します。

🔹③ その子の“内なる世界”を大人が尊重する

   →「それ、面白そうだね」「どうして好きなの?」と聞いてくれる大人の存在が、
    「自分をわかってもらえる」という感覚を育てます。

🔹④ 無理な“交流の訓練”は行わない

   → ソーシャルスキルトレーニング(SST)なども、
    本人が望む・必要としている場合に限って行うことが大切です。

◆ ご家庭でできる3つの工夫

🔷 ① 「友だちは必要」という価値観を押しつけない

   → 大切なのは**「自分にとって大事な人」とどうつながるか**であり、
    必ずしも人数ではありません。

🔷 ② 一人の時間に入り込まない“見守りの距離感”を持つ

   → そっとしておくことと、見捨てることは違います。
    「いつでも話せるよ」の雰囲気を常に漂わせておくことが重要です。

🔷 ③ 親自身が「ひとり時間」とどう付き合っているかを示す

   →「お母さんもたまに一人で本読むの、好きなんだよね」など、
    **自立と孤立のちがいを“体験として伝える”**ことができます。

◆ 「ひとり」は、“こころをひらく”ための準備かもしれない

誰かとつながるためには、
まず自分の内側に“帰ってくる場所”が必要です。

子どもが一人の時間を持てることは、
“関係の中で自分を保つ力”の礎でもあるのです。

吹田市・北摂地域で、私たちは
“ひとりでいる力”と“つながる力”の両方を育てる支援を通じて、
子どもたちの“ありのままの存在”を守っていく関係づくりを続けています。