“不登校”という選択——回避か、防衛か、再構築か
◆「学校に行かない」と決めた子どもたち
・朝、制服には着替えるのに玄関で立ちすくむ
・「行きたくない」と泣き出す日が増えた
・病気ではないのに体が動かないと言う
・時間がたつほど「もう行けない」と言い張る
吹田市・北摂地域でも、不登校に関するご相談は年々増加傾向にあります。
小中学生だけでなく、最近では**高校・大学・社会人直前の段階での“出現”**も多く見られます。
◆ 「逃げているだけ」なのか?
不登校の子どもを見て、周囲はしばしば「甘えている」「逃げている」と感じてしまいます。
けれど、その多くは、**逃げ“たくて”逃げているのではなく、「どうにもならない状況から、自分を守るために距離を取った」**という内的な必然です。
心理的には、不登校という行動は次の3つに分類されることがあります:
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種別 |
意味 |
|---|---|
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✅ 回避型 |
学業不振・人間関係など、苦痛からの回避行動 |
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✅ 防衛型 |
不安・過緊張・抑うつなど、心身の限界を感じての自己防衛 |
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✅ 再構築型 |
今の環境に意味を見いだせず、新しい価値や進路を模索する試み |
多くのケースはこの3つが複雑に絡み合っており、単純なレッテルでは捉えられません。
◆ 北摂のあるケース:中1男子の「静かな不登校」
北摂の中学校に通う中学1年生の男の子は、小学校時代までは皆勤。
ところが中学に入ってから、教室に馴染めず、昼休みに居場所がなくなっていきました。
やがて彼は「朝起きられない」と言い始め、1日、2日、1週間…と登校できない日が増えていきました。
親は最初、「ゲームばかりしている」と叱っていましたが、
面談で彼が語ったのは——
「みんなが楽しそうにしてる中で、ぼく一人が“浮いてる”気がする」
「行かなきゃって思うのに、玄関に立つと足が動かない」
これはまさに、“がんばろうとしても体が拒否する”タイプの防衛的な不登校でした。
◆ 吹田市の心療内科での支援アプローチ
「ゆうゆうからだとこころのクリニック」では、子どもたちの「学校に行けない」状態を、単なる症状ではなく、その子の心の状態を表す“表現”として尊重します。
🔹 ① 安全な“逃げ場”の提供
→ 学校と家庭だけの往復に閉じ込められないよう、**第3の場(医療・居場所・支援者)**を設ける
🔹 ② “行けない自分”を否定しない言葉がけ
→ 「行かなきゃダメ」ではなく、「今の君には休むことが必要なんだね」と共感からスタート
🔹 ③ 行かない期間に“回復と再構築”を図る
→ 睡眠リズム・身体の調子・自尊心を回復させながら、「自分がどんな時間を生きたいか」に目を向けていく
🔹 ④ 保護者支援の徹底
→ 焦る親の不安も当然。親のケアこそが子どものケアに直結します。
🔹 ⑤ 必要に応じた学校・教育委員会との連携
→ フリースクール、訪問型支援、別室登校、保健室登校など、多様な選択肢を具体的に検討
◆ ご家庭で大切にしたい3つの視点
🔷 ① 「休んでいる」こと自体が“回復の時間”であると認める
→ 見かけ上の“何もしていない”時間も、内面では大きな再構築が起きている
🔷 ② 生活のリズムと“微細な活動”を支える
→ 朝起きる、食べる、日光を浴びる。これらが次への一歩の布石になる
🔷 ③ 一緒に「小さな未来」を描いてみる
→ 進学・転校・フリースクール・バイトなど、「学校」以外の語彙を一緒に探していく
◆ 不登校は“病気”ではなく、“対話の入口”になる
子どもが学校に行けなくなったとき、
それは失敗でも、親の責任でもありません。
むしろその瞬間から、**「本当はどんな生き方をしたいのか?」**という対話が始まるのです。
吹田市・北摂地域で、私たちは“不登校”を「戻すための問題」ではなく、
その子の命のバランスを守るための行動として尊重し、そこから未来を一緒に再構築していく支援を大切にしています。