“人の目が気になる”中高生の心の中——社交不安という個性を理解するために
◆ 「あの子、急に人前で話せなくなって…」という相談が増えています
「クラスの発表の前になると、お腹が痛くなる」
「朝から『学校に行きたくない』と泣き出す」
「友達とはLINEできるのに、対面では全く話せない」
このような声が、最近、吹田市の心療内科にも数多く届くようになりました。
思春期は“自意識”が急速に発達する時期です。
その結果、「人からどう思われているか」が極端に気になるようになることがあります。
これは決して「恥ずかしがり屋だから」という単純な問題ではなく、**社交不安症(社交不安障害)**という心の特性が関係していることもあるのです。
◆ 「恥ずかしがり」と「社交不安」は何が違うの?
🔹 恥ずかしがり屋(シャイ)
→ 一時的な緊張。慣れれば行動できる。
→ 自分の意思で挑戦することも可能。
🔹 社交不安症(社交不安障害)
→ 「失敗したらどうしよう」「バカにされたらどうしよう」という強い不安に支配される。
→ 身体症状(動悸、腹痛、発汗など)が現れ、“行きたくても行けない”状態になる。
つまり、社交不安は、その場を避けたいという“怠け”や“逃げ”ではなく、脳が恐怖として認識してしまっている状態なのです。
◆ 北摂エリアの中高生にも増加中——その背景とは?
吹田市を含む北摂地域の中高生でも、社交不安傾向のあるお子さんが増えてきています。
その背景には、以下のような現代的な要因があります。
✅ SNSによる“常時見られている感覚”
→ 「既読無視された」「写真のタグ付けがイヤだった」など、オンラインでの見られ方に敏感になりやすい。
✅ 学校生活の“正解の多さ”
→ 「間違ったら恥ずかしい」「笑われたら終わり」というプレッシャーの中で、失敗への恐怖が大きくなる。
✅ コロナ禍による対人経験の不足
→ マスク生活やオンライン授業の影響で、“人と直接話す”機会が減ったことが影響しているケースもあります。
◆ 吹田市の心療内科での対応例
「ゆうゆうからだとこころのクリニック」では、
社交不安を抱える中高生に対し、**「話す練習」ではなく「安心できる経験」**を重視した支援を行っています。
✅ 医師による状態の見立てと説明
→ 本人が「怠けているのではなく、脳が不安を感じている状態」と理解できるように、わかりやすく説明します。
✅ 必要に応じた薬物療法
→ 社交不安が日常生活に大きな支障をきたしている場合は、抗不安薬やSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などを慎重に使用することもあります。
✅ 認知行動療法的なアプローチ
→ 「人に見られている=恥ずかしい」という考え方の裏にある思い込みやルールを見つけていく作業を行います。
→ 徐々に安心できる場面を増やしながら、自信を育てていきます。
◆ ご家庭でできる関わり方——3つのヒント
🔸 1.「大丈夫だよ」ではなく「怖いよね」と共感する
→ 不安を否定するのではなく、「そう感じてるんだね」とその感情を認めることが第一歩です。
🔸 2. 無理に“人前に出す”のではなく、“安心できる場”を増やす
→ 家の中や少人数の環境など、子どもがリラックスできる場で**「できた!」という感覚を育てていきましょう。**
🔸 3. 結果ではなく「がんばろうとした気持ち」を認める
→ 例え発表できなかったとしても、「教室まで来れたこと」を褒めるような**“過程を認める声かけ”**が効果的です。
◆ 社交不安は、“社会で生きる力”の裏返しでもある
社交不安は、「人からどう見られているか」を敏感に感じ取れる、ある意味で豊かな共感力の表れでもあります。
しかしそれが強すぎると、自分自身を苦しめてしまうこともあります。
大切なのは、その繊細さを否定せず、「扱いやすくしていく」ことです。
吹田市や北摂地域では、学校・医療・カウンセリング機関が連携しながら、社交不安に悩む子どもたちのサポートに取り組んでいます。
「なかなか教室に入れない」「人と話すのがつらい」
そんな悩みを抱えるお子さんがいたら、どうか一人で抱え込まず、心療内科などの専門機関を頼ってください