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“何もやる気が出ない”——無気力と抑うつのはざまで

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◆「怠けてるんじゃないの?」と見えてしまうとき

ある日突然、子どもがこう言い出します。

「別に…何にもしたくない」
「学校も…まあ行ってもいいけど、どうでもいい」
「楽しいこと? 別に、特にない」

吹田市のある保護者の方は、初めてこの言葉を聞いたとき、
「やる気がないだけじゃないの?」
「どうしてそんな投げやりなの?」と戸惑ったと言います。

でも実は、子どもたちがこうした“無気力状態”を訴えるとき、
その背景には抑うつ状態や強い疲労、環境との不適応が潜んでいることがあります。

◆ 無気力のサイン——表に出にくい心の疲労

子どもは、自分の内面を言葉でうまく説明できないことが多くあります。
そのため、以下のような“間接的なサイン”で不調を訴えている可能性があります。

🔹 表情が乏しくなった
🔹 やたらと寝ている or 夜更かししている
🔹 好きだったことへの関心が薄れた
🔹 ぼーっとしていることが増えた
🔹 イライラしやすくなった
🔹 「面倒くさい」「だるい」が口癖に

北摂地域の中学生の例では、
クラブ活動を熱心に続けていた男の子が、ある日から「練習に行きたくない」と言い出しました。

最初は「さぼりたいだけかな」と思われていましたが、
実はクラスでの孤立感や家庭でのストレスが積み重なっており、エネルギーが底をついた状態だったのです。

◆ 無気力は“逃げ”ではなく、“心のSOS”

「やる気がない」のではなく、
「頑張る力がもう残っていない」状態。
これが、無気力の本質です。

この状態で無理に「頑張らせよう」とすると、
ますます自己否定が強まり、場合によっては**うつ症状の悪化や不登校、身体症状(頭痛・腹痛)**につながることもあります。

◆ 吹田市の心療内科での対応とケア

「ゆうゆうからだとこころのクリニック」では、
無気力状態の背景を丁寧に探りながら、以下のような支援を行っています。

🔸 ① 安心の確保と“刺激の引き算”
   → 「やる気を出させる」よりも、まず今の負荷を減らすことを重視。
   → 学校や家庭の“頑張り続ける前提”を一度緩めます。

 

🔸 ② 感情言語化のサポート
   → 「どうしたの?」ではなく「最近、少ししんどそうだね」「何か気になることある?」という開かれた問いで話せる場をつくります。

 

🔸 ③ 小さな快の再発見
   → 「散歩に行けた」「空が綺麗だった」など、“心地よさ”へのセンサーを少しずつ回復させる。

 

🔸 ④ 必要に応じた心理療法・薬物療法
   → 抑うつ症状が強い場合は、適切な診断の上で治療的介入を検討します。

◆ ご家庭でできる“エネルギーの回復支援”

🔹 ① 「動けない日があってもいいよ」と伝える
   → 「今日は何もしたくなかったんだね」「そういう日ってあるよね」と、肯定的に受け止める姿勢が、子どもを守ります。

 

🔹 ② 動けたときには“動けたこと”を評価
   → 「今日は朝ごはん食べられたね」など、小さな行動の成功体験を見逃さず言葉にする。

 

🔹 ③ 時間がかかっても「戻ってくる力」を信じる
   → 回復には波があります。数日元気になったと思ったらまた沈むことも。それも含めて“回復の道のり”と受けとめてください。

◆ 無気力の裏には「本当は何かを感じている自分」がいる

何も感じない、何もやりたくない。
でもその根っこには、
**「頑張りたいけど怖い」「傷つくのが怖い」**という気持ちが隠れていることもあります。

吹田市・北摂地域の子どもたちが、
また少しずつ「やってみようかな」と思える瞬間を取り戻せるように、
私たちは待つ支援・寄り添う支援を大切にしていきます。