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“感覚過敏のある子”——音・光・触覚への配慮と理解

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◆「この子、なんでこんなことで泣くの?」が起きる理由

 ・鉛筆の音にビクッと反応する

 ・衣服のタグが我慢できずにパニックに

 ・照明のちらつきや太陽の光で目を細める

 ・人混みやざわざわした場所を極端に嫌がる

吹田市・北摂地域の親御さんや学校の先生方からも、
「集団生活にうまくなじめない」
「ちょっとしたことで癇癪を起こしてしまう」
という声がよく届きます。

しかし、その背後にあるのが**「感覚過敏(sensory hypersensitivity)」**だとしたら、
それは単なる“わがまま”ではなく、環境と自分の間にある“しんどさ”を抱えている状態なのです。

◆ 感覚過敏とは、“世界がちょっと強すぎる”こと

感覚過敏とは、
光・音・におい・触覚・味覚など、
五感の刺激を通常よりも鋭く・強く感じてしまう状態を指します。

この感覚の鋭さは、
本人にとって「快適」ではなく「過負荷」として働くことが多く、
以下のような困難を引き起こします:

感覚

よくある反応

聴覚過敏

大きな音・不規則な音に過剰反応。運動会やチャイムが苦手

触覚過敏

衣類のタグ、髪のブラシ、人との接触などに強い不快感

視覚過敏

蛍光灯の光、光のちらつき、強い色彩で疲弊

嗅覚過敏

食べ物・柔軟剤・教室のにおいなどに敏感で吐き気や頭痛に

味覚過敏

特定の食感や味が極端に苦手。偏食や食事拒否に発展することも

これらの反応は、自分でコントロールできない“身体の反応”として起きてしまうのです。

◆ 北摂の事例:小2男子の「掃除機音パニック」

北摂地域の小学校に通う2年生の男の子。
家庭ではおとなしく真面目な性格でしたが、
ある日、学校の掃除時間に掃除機の音で突然パニックになり、
逃げ出して泣き止まなくなってしまいました。

担任は「びっくりしただけかな」と思っていたのですが、
後日、その子はこう話してくれました。

「耳の奥が痛くなるみたいな感じで、心臓がバクバクする」
「音が“近づいてくる”感じがして、怖くなった」

これは、**聴覚過敏による“侵入的な感覚刺激”**が引き起こした生理的な反応でした。

◆ 感覚過敏のある子が日常で感じている“しんどさ”

感覚過敏をもつ子どもたちは、
日常的にこんな風に感じていることがあります:

・「何でみんな平気なのかわからない」

・「逃げたいけど、逃げたら変な子だと思われる」

・「泣いたら怒られるけど、我慢できない」

・「本当はがんばってるのに、“わがまま”に見える」

つまり、感覚の違いによって「自分がおかしいのかも」と感じる経験が積み重なっていくのです。

◆ 吹田市の心療内科での支援:環境調整と“違いの可視化”をサポート

「ゆうゆうからだとこころのクリニック」では、
感覚過敏への支援において次のことを大切にしています。

🔹① 本人が自分の“感覚の特性”を理解するサポート

  → 「自分は音に敏感なんだ」など、
    “感じ方のちがい”を認識し、可視化するワークを通じて、自己理解を深めます。

🔹② “回避”ではなく“調整”を一緒に考える

  → 過敏な場面をすべて避けるのではなく、
    イヤーマフ・サングラス・香りの遮断など具体的な工夫を本人と一緒に考えます。

🔹③ 周囲の大人と“感覚の翻訳”を共有

  → 保育者や教師に対し、「彼にとっての不快の理由」を伝えることで、
    怒られたり誤解されたりしないような土壌を整えます。

🔹④ 過敏な感覚をもったまま“世界とつながれる”経験を大切に

  → 避けること=生きづらさではなく、
    自分に合った方法で社会に関わる“成功体験”を積み上げます。

◆ ご家庭でできる3つの工夫

🔷 ① 子どもの「いや」「つらい」の訴えを“感覚の言葉”として聴く

  →「そんなことで?」ではなく、
    「そう感じるんだね。どうしようか考えよう」と対応する。

🔷 ② 感覚刺激の“選択肢”を一緒に準備しておく

  → イヤーマフ、綿素材の服、においブロックなどを準備し、
    「しんどくなったら自分で対処できる」自律性を持たせます。

🔷 ③ 兄弟や友だちにも“違いの言葉”で説明する

  →「Aくんは音にびっくりしやすい体なんだよ」など、
    “特別扱い”ではなく“違いの可視化”として説明します。

◆ 感覚のちがいを“生きづらさ”ではなく、“自分の特性”に

感覚過敏は治すものではなく、
理解し、工夫することで“その子らしく暮らせる”状態にしていくものです。

子どもたちが「自分の感じ方を否定されない世界」で育つこと。
それが、自己肯定感と社会との接続をつくる第一歩になります。

吹田市・北摂地域で、私たちは
感覚の鋭さに困っている子どもたちとともに、
“感じすぎる世界”とつながるための橋を、一緒に架ける支援を続けています。