“指示が通らない子”——わかっているのに動けない理由
◆「言われたことは理解しているのに、なぜか動けない」
・「片づけてね」と言っても、ぼーっとして動かない
・「宿題やってね」と言えば「わかってる」と返すのに、始められない
・登園・登校の時間になっても、着替えや準備が進まない
・指示を出すたびに「今やろうと思ってたのに」と反発する
・指示を理解していても、忘れてしまう・途中で脱線してしまう
吹田市・北摂地域のご家庭や学校でも、
このような**「わかっているのに、できない」子どもたち**への困りごとは多く聞かれます。
「怠けているのでは?」「やる気の問題?」と思いたくなるかもしれません。
けれど、この“できなさ”には、見えにくい認知特性のつまずきが関わっていることが多いのです。
◆ “わかる”と“できる”のあいだには、大きな“段差”がある
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状態 |
背景にある認知機能の課題 |
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頭では理解しているが、行動できない |
実行機能(段取り・開始力)の弱さ |
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指示の内容は覚えているが、進まない |
モチベーションの切り替えが苦手 |
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一つの作業に集中できない |
注意の持続・選択が難しい |
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途中で別のことに気を取られる |
ワーキングメモリ(記憶の一時保持)の弱さ |
つまり、“理解”と“実行”のあいだには、
**脳の中で複数の機能が連携していないと超えられない「目に見えない段差」**があるのです。
◆ 北摂の事例:小4女子の「やろうと思ってるのにできない」
北摂地域の小学校に通う4年生の女の子。
毎日宿題に取りかかるのが遅く、「早くやりなさい」と言われても動けない。
結局、夜遅くになって泣きながら始めることも。
本人は「ちゃんとわかってる」「やろうとは思ってる」と言い続け、
保護者は「口だけじゃなくて、動いてほしい」と怒りが募っていました。
カウンセリングの中で彼女はこう語りました。
「頭ではわかってるのに、手と体が止まっちゃう」
「始めると怒られる気がして、もっと動けなくなる」
これは、**実行機能の課題と、心理的プレッシャーによる“凍りつき”**が重なったケースでした。
◆ 実行機能の課題:子どもが“動けない”脳の仕組み
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実行機能の要素 |
課題のあらわれ方 |
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開始する力 |
「やらなきゃ」はわかるが、最初の一歩が踏み出せない |
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維持する力 |
途中で飽きたり、気が散ってやめてしまう |
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切り替える力 |
他の作業や指示に移るのに時間がかかる |
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ゴールを見通す力 |
全体像が見えないため、モチベーションが続かない |
このような子どもたちは、
“わざとやらない”のではなく、“始めるためのスイッチがうまく入らない”状態にあるのです。
◆ 吹田市の心療内科での支援:“始めやすさ”を整える工夫から
「ゆうゆうからだとこころのクリニック」では、
“指示が通らない子”に対して、以下のような支援を行っています。
🔹① 指示を「行動ベースのタスク」に変換する
→ ✖「早く宿題やって」
◯「いまから3分だけ、プリントを1枚開いてみよう」
→ “始めるハードル”を思い切り下げることで、動き出しのスイッチが入りやすくなる
🔹② 時間を「砂時計」「タイマー」で“見える化”する
→ 時間感覚が曖昧な子には、「あと何分」が視覚で伝わる工夫が有効
→ 「5分だけ」「この音楽が終わるまで」など、“区切り”のある始まりと終わりをつくる
🔹③ “できた感覚”を細かくフィードバックする
→ 「今は、開けたところまでがすごいね」「5分、机に座れたね」
→ “行動そのもの”を見つけてほめることが、次の行動への自信につながる
🔹④ ご家庭と学校の連携で「環境調整の一貫性」をもたせる
→ 家では緩く、学校では厳しい……などのギャップがあると、子どもは混乱しやすい
→ どちらの環境でも“動き出しの支援”を共通にすることで、行動が安定しやすくなる
◆ ご家庭でできる3つの工夫
🔷 ①「今すぐやりなさい」より、「3分だけ一緒にやろうか?」
→ 開始の伴走をしてから、徐々に“ひとりでやる”時間へ
🔷 ②「できてない」ではなく、「どこまでできた?」に焦点を変える
→ 否定よりも“部分の達成”を見つけて言葉にする
🔷 ③ 「やる気」のせいにしない
→ 「気持ちの問題じゃなくて、スイッチの入り方なんだよ」
→ “責められていない”安心感が、動き出しの土台になる
◆ “動けない”のは、“動くための準備”がまだ整っていないだけかもしれない
大人が「これくらいならできるはず」と思うタスクでも、
子どもにとっては、「どう始めるか」が大きな壁になっていることがあります。
だからこそ、
“わかってるのにできない”を、努力不足ではなく認知的な特性として見直す視点が大切です。
吹田市・北摂地域で、私たちは
“見えない段差”につまずく子どもたちと共に、
一歩ずつ動き出すサポートを続けています。