“空気を読めない子”——他者理解とズレを埋める力
◆ 「なんでそんなこと言うの?」「今そのタイミングじゃないよ」
・場の雰囲気を無視して話を続けてしまう
・冗談が通じず、真に受けてトラブルに
・相手の気持ちを考えずにズケズケと発言
・逆に、相手の怒りや苛立ちにまったく気づけない
吹田市・北摂地域でも、保護者や先生たちから
「場の空気が読めない」「人の気持ちに鈍感で心配」
といった声をよく伺います。
こうした“空気が読めない”とされる子どもたちは、
決して悪気があるわけでも、反抗的なわけでもありません。
その背景には、“他者理解”という見えにくいスキルの未発達があります。
◆ 「空気を読む」とは、実はかなり高度な行為
大人にとっては当たり前のように感じる「空気を読む」行為。
でもその裏では、こんな複雑なプロセスが働いています:
1.相手の表情や声のトーンから、今の感情状態を読み取る
2.状況や場面に応じて、「普通こうする」ルールを選択
3.自分の気持ちを一時的に保留し、場の流れに合わせて行動
4.「相手がどう思うか」を想像しながら言動を調整
つまりこれは、言葉・感情・場面・自他の視点を同時に処理する、
**とても高度な“認知的マルチタスク”**なのです。
◆ 北摂の事例:小学2年男子の“ずれた発言”
北摂地域の小学校に通う2年生の男の子。
授業中に友だちが大切な発表をしている最中、突然、
「ねえ先生、今日の給食って唐揚げ?」
と割り込んできて、教室の空気が一気に凍ったことがありました。
先生は叱るつもりはなかったものの、
「今じゃないでしょ」と冷たく返してしまい、
彼は黙り込んでしまったそうです。
後日の面談で彼が言ったのは、
「話してる子の声が小さくて、よく聞こえなかったから…」
「唐揚げって急に気になっただけで、別に怒らせたかったわけじゃない」
これは、「その場で何をすべきか」「他者の気持ち」が結びついていない状態であり、
悪意ではなく、“認知的なズレ”だったのです。
◆ 空気が読みにくい子に共通する背景
|
特性 |
背景にある課題 |
|---|---|
|
状況の文脈が理解しにくい |
社会的な暗黙ルールを把握するのが難しい(ASD傾向など) |
|
感情の読み取りが難しい |
相手の表情・声色など非言語的情報に気づきにくい |
|
自分の興味や思考が優先される |
認知の柔軟性が弱く、他者視点に切り替えにくい |
|
言語的な表現に偏る |
「言葉にはできるが、空気の微細な変化に対応しにくい」傾向 |
大切なのは、“気づけていないだけ”であり、“直すべき性格”ではないという理解です。
◆ 吹田市の心療内科での支援:ズレを責めず、橋を架ける支援
「ゆうゆうからだとこころのクリニック」では、
空気を読むことが難しい子どもたちに対して、
以下のようなアプローチで支援を行っています。
🔹① 「今は◯◯の時間だよ」と文脈を可視化
→ 言葉やイラストで「場の空気」を見える形にして、
状況ごとの“意味づけ”を学習する支援を行います。
🔹② 表情カード・感情絵本などで感情理解をサポート
→ 相手の気持ちに気づくための練習を、
具体的なツールを使って丁寧に繰り返します。
🔹③ ロールプレイで“その時どう動くか”を体験的に練習
→ 「自分が話してる時に、突然他の話をされたらどう感じる?」など、
自他の視点を切り替える練習を重ねます。
🔹④ “ズレ”を責めない、修正のチャンスとして扱う
→ 「それは間違ってるよ」ではなく、
**「ちょっとだけずれてたね。こんな時はこうするといいかもね」**と、
改善のための“安全なやり直し”を保障します。
◆ ご家庭でできる3つの関わり方
🔷 ① “空気”を言語化して見せる
→ 「今、お父さんがちょっとイライラしてるっぽいね。声が強かったでしょ」など、
非言語の感情を言葉にして、手渡していく。
🔷 ② うまくできた時を“機能の言葉”で褒める
→ 「今、ちゃんと順番待てたね」
→「それって“まわりの流れを感じる力”が働いてたね」と、
社会性の成長を意識的に言葉で伝える。
🔷 ③ 親自身も“空気が読めなかった”経験を語る
→ 「お母さんも昔、空気読めなくて変なタイミングで話しちゃったことあったよ」
と、ズレること=失敗ではないという安心感を与える。
◆ 空気が読めないのではなく、“空気の読み方”をまだ知らないだけ
社会性の発達は、運動や言語と同じく、
“練習”と“安心できる場”によって育つ力です。
空気を読むことに苦手さを持つ子どもたちは、
そのズレを何度も経験し、少しずつ“他者との距離感”や“関係のタイミング”を学んでいきます。
吹田市・北摂地域で、私たちは
空気を読めないとされる子どもたちが、
“そのままの自分”を大切にされながら、人とつながっていく力を育てる支援を続けています。