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“言葉にするのが苦手な子”——沈黙の奥にある思いに寄り添う

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◆「何考えてるか分からない」「話そうとしない」「黙り込んでしまう」

・質問しても「分からない」「別に」と答える

・話すよりも絵や行動で気持ちを表現する

・困ったことがあっても自分からは言わない

・周囲が話していても、一言も話さずじっとしている

・話しかけても視線をそらし、うつむいてしまう

吹田市・北摂地域の保育園・小学校でも、
「この子、感情が見えにくい」「何も話してくれない」という声は少なくありません。
しかしその沈黙の裏には、
“言葉にする力の未発達”と“言葉にすることの怖さ”が静かに存在しているのです。

◆ 話せないのは、話す気がないわけではない

見える行動

背景にある可能性

質問にすぐ「分からない」と返す

質問の意味が複雑/考える時間が足りない/答えが定まらない不安

自分の気持ちを言語化できない

語彙の未発達/自他の気持ちの区別が曖昧/内面に言葉を当てはめる経験不足

話すことを避ける

間違える不安/否定される経験が多かった/感情が大きすぎて言葉にならない

書く・描く・動くなどで表現する

“話す”以外のチャネルの方が自分にとって安全でわかりやすい

つまり、“話さない”子どもたちの多くは、“話せない”状況の中で、自分を守っているのです。

◆ 北摂の事例:小3女子の「おしゃべりしないノート」

北摂地域の小学校に通う3年生の女の子。
授業中も休み時間もほとんど発言せず、友だちとの会話も最小限。

しかし、家庭で使っていた「気持ちノート」には、びっしりと絵と言葉が綴られていました。

「話すと、思ってたことと違うふうに伝わる気がしてイヤになる」
「あとで“あんなこと言うんじゃなかった”って思うことが多い」

この子にとって、“話す”ことはリスクであり、
“書く・描く”という表現が、ようやく安心して自分を出せる場所だったのです。

◆ “言葉にならない思い”に近づくための視点

状況

支援的な理解

沈黙が続く

「考えている時間」として待つことが信頼になる

答えがあいまい

思いが定まっていない/その場での言語化が難しい

表現が乱暴/曖昧

適切な語彙が見つからず、“音”や“印象”で伝えようとしている

別の形(絵・動作)で表現する

“自分のやり方”で自己開示しようとする努力のあらわれ

「話す=心を開く」ではない。
“沈黙”もまた、表現のかたちのひとつだと捉える視点が必要です。

◆ 吹田市の心療内科での支援:言葉の「前」を整え、「代わり」を育てる

「ゆうゆうからだとこころのクリニック」では、
言葉にするのが苦手な子どもたちに対して、以下のような支援を行っています。

🔹① 「話す」前に「感じる・気づく」力を育てる

   → 絵カード・感情サイコロ・気持ち温度計などを使って、
    “今、何を感じてる?”を言葉以前の形で探っていきます。

🔹② “言わなくても伝わる”体験をつくる

   → 絵日記を共有する/色で気持ちを示す/ぬいぐるみを通して話す など
    → “表現=話すだけではない”ことを本人もまわりも学んでいきます。

🔹③ 答えや感情を“選ぶ”形式にすることで、自己開示のハードルを下げる

   → 「今の気持ちはこの中ならどれ?」など、選択肢形式を活用
    → “ゼロから話す”負荷を軽減する工夫が有効です。

🔹④ 話せたときは“内容よりも勇気”を承認する

   →「そう思ったんだね」より、「言ってくれてありがとう」
    → “表現すること自体に価値がある”という安心感が育ちます。

◆ ご家庭でできる3つの工夫

🔷 ① 話さないときも「聴いてるよ」という姿勢を続ける

   → 無理に話させず、「いつでもいいよ」「待ってるね」と
    “沈黙も会話のうち”という空気をつくる

🔷 ② 話す以外の表現方法を家庭内に置いておく

   → 絵日記/気持ちカード/ぬいぐるみへの代弁など
    → “話さなくても気持ちが伝えられる”ルートを準備しておく

🔷 ③ 自分の話ばかりせず、「聞いてくれてありがとう」と伝える

   → 一方的な質問攻めではなく、“関係の中で伝え合う”感覚を育てる関わり方が重要です。

◆ “話さない子”ではなく、“言葉以外の道を選んでいる子”

言葉にならない思いは、たしかにあります。
でもそれは、伝える力がないのではなく、
“まだ伝える方法が育っていない”だけ。

私たち大人がすべきことは、
その子の「伝えたい」という芽を、どんな形でも受けとめ、育てていくこと。

吹田市・北摂地域で、私たちは
言葉にならない子どもたちの沈黙に静かに耳を傾け、
“言葉より深い思い”に寄り添う支援を続けています。