「スマホばかり」「ゲームばかり」——児童思春期の“デジタル依存”とどう向き合う?
スマホを取り上げたら、怒鳴られた——子どもとスクリーンの距離感
「ゲームをやめなさい」と言うと、暴言を吐いた
「スマホは30分だけ」と約束したのに、全然守れない
「充電が切れそう」と言いながら、寝る直前まで画面を見ている
こうしたご相談は、吹田市でも年々増加しています。
児童思春期において、スマートフォンやゲーム、SNSとの関わりは、もはや生活の一部です。
ですが、それが生活の中心になってしまうと、心や体の不調につながるリスクも見過ごせません。
なぜやめられないのか? デジタル依存の心理的背景
スマホやゲームに熱中する背景には、単なる「娯楽」以上の要素があります。
- 学校でのストレスや孤独感からの逃避
- SNSで“いいね”をもらうことで自己肯定感を得ている
- ゲーム内でだけ感じられる「成功体験」や「安心感」
- 本音を言えるのはネットの友だちだけ
とくに自己肯定感が低かったり、現実の人間関係がうまくいっていない場合、
「デジタルの世界に居場所を見つけている」という状態になりやすいのです。
無理に“取り上げる”と、親子関係にひびが入る
保護者の中には、「中毒みたいだから、一度全部やめさせるしかない」と考える方もいます。
しかし、いきなりスマホやゲームを取り上げることは、子どもにとって「つながり」や「居場所」を奪われる感覚になってしまうことがあります。
結果として:
- 反発や暴言、暴力的な行動に出る
- 家庭内の信頼関係が壊れる
- ますます隠れて使用するようになる
- 情緒不安定・睡眠障害・不登校へとつながる場合も
大切なのは、頭ごなしに禁止するのではなく、「どう付き合うか」を一緒に考える姿勢です。
北摂地域でも増える、スマホ依存に悩む家庭
北摂の地域性として、教育水準が高く、子育てに熱心なご家庭が多いため、
「スマホとの付き合い方がうまくいかない」という焦りを強く感じる保護者も少なくありません。
一方で、子ども自身が「やめたいけどやめられない」と苦しんでいるケースも多く、
責めるだけではなく、その葛藤に気づく視点も大切です。
心療内科でのアプローチ:依存を断ち切るのではなく、“置き換える”
吹田市の当クリニックでは、以下のような方法で「デジタルとの付き合い方」をサポートしています。
ライフスタイルの棚卸し
1日の使い方を可視化し、どの時間帯にスマホが多いか、何を補っているのかを分析。
「代わりになる活動」を一緒に探す
スマホ以外でも達成感や安心感が得られる方法を、本人と一緒に見つけていきます。(例:創作、スポーツ、ボードゲームなど)
ルールは“守らせる”より“作らせる”
一方的にルールを決めるのではなく、子ども自身が「これならできそう」と思える目標を立てるサポート。
家族全体での“デジタルとの距離”の見直し
親がずっとスマホを見ている家庭では、子どもだけ制限しても意味がありません。
子どもは「つながる力」そのものを求めている
スマホやゲームに依存しているように見える子どもたちも、
本当は「誰かとつながりたい」「自分の居場所がほしい」という欲求を持っています。
その根底にある思いに気づき、
「どうしてそんなにスマホを見ていたいのかな?」
「誰かとつながっていたい気持ちはある?」
と、怒るのではなく、問いかけてみることから始めてみませんか。
最後に——“取り上げる”より“橋をかける”対応を
思春期の子どもは、自分でも気づかぬうちに“見えない孤独”を抱えていることがあります。
私たち大人は、「デジタル依存を止めさせる」ことだけでなく、その奥にある感情やニーズに寄り添うことが求められています。
心療内科では、子ども一人ひとりの背景をていねいに理解し、スマホやゲームとの健全な関係性を築くお手伝いをしています。
吹田市・北摂エリアで、スマホとの向き合い方に悩むご家庭があれば、一人で抱え込まず、ぜひご相談ください。