「うるさい」「別に」——思春期の“親を拒絶するサイン”にどう向き合うか?
あの子が変わってしまった——反抗の始まりに戸惑う保護者たち
「最近、話しかけても『は?』『別に』しか返ってこない…」
「ちょっとしたことでイライラし、すぐにドアをバタンと閉める」
「以前はあんなに素直だったのに、どうしてこんなに冷たくなったの?」
吹田市をはじめとする北摂地域でも、こうした「思春期特有の親への反発」に悩む保護者のご相談が増えています。
とくに中学生~高校生の年齢に差しかかる頃から、子どもは親から距離を取り始め、自立に向かうステップを踏み出します。
このとき現れる“無視・口答え・急な態度の変化”は、発達的にはごく自然な現象なのです。
なぜ親に対してだけ「強く出る」のか?
子どもが外では穏やかに過ごせているのに、家の中では親にだけ攻撃的になるということがあります。
これは、「親なら何をしても受け止めてくれる」という信頼感の裏返しとも言われています。
心理的には、以下のような背景が考えられます:
- 自分でも感情がコントロールできず、誰かにぶつけたくなる
- 社会の中で我慢が続き、家庭内で爆発する
- うまく言葉で気持ちを伝える手段をまだ持っていない
- 「距離を取りたい」という自立欲求と、「甘えたい」という依存心の狭間で揺れている
つまり、「うるさい!」「勝手にしろ!」という言葉の裏には「わかってほしい」「でも構わないで」という複雑な想いが交錯しているのです。
親がすべきこと、すべきでないこと
思春期の子どもとの関係で悩む保護者が、ついやってしまいがちな対応には注意が必要です。
やってはいけない対応例
- 「そんな口のきき方は許さない」と強く怒鳴り返す
- 無視や沈黙に腹を立てて、逆に無視し返す
- 友達やきょうだいと比べて責める
- 「あんな子に育てた覚えはない」などの否定的な言葉
おすすめの対応
- 怒りに反応せず、“今は距離を取っても大丈夫”という安心感を示す
- 子どもの言動に傷ついた気持ちは、冷静なタイミングで「Iメッセージ」で伝える(例:「ああ言われたとき、悲しかったよ」)
- 自分の価値観を押しつける前に、「どう思ってる?」と聞く余裕を持つ
「よくそんな態度を取れるね!」と責めるより、「あなたが何を感じてるのか、いつでも聞く準備はできてるよ」という姿勢を、背中で伝えることが大切です。
吹田市の心療内科でも増える「反抗期の相談」
ゆうゆうからだとこころのクリニックにも、「思春期の子どもが家で荒れていてどう接すればいいか分からない」というご相談が増えています。
当院では、以下のようなアプローチを用いて、家庭内の関係改善をサポートしています。
思春期カウンセリング(個別)
子どもが自分の気持ちを言葉にする練習、怒りの裏にある感情への気づきを促進
ペアレントトレーニング(保護者面談)
親としての関わり方を学び、怒りや不安に巻き込まれない関係性を再構築
発達特性の理解支援
反抗的に見える行動の一部が、ASDやADHDといった特性に由来している場合も心療内科では、「症状をなくす」ことだけではなく、「親子関係を再びつなげる」ことも大切な目標としています。
「嫌われても離れない」関係性こそが土台になる
思春期の子どもは、「一人でいたい」と言いながらも、どこかで「本当に見捨てられないだろうか」と不安を抱えています。
「うるさい!」と言いながら、心の奥では「聞いてほしい」と願っているのです。
そんな子どもに対して、私たち大人ができることは——
嫌われることを恐れず、静かにそばにいること。
急に心が開かれることはなくても、「いつでも戻ってこられる場所がある」と感じられることで、子どもは少しずつ心を整えていきます。
吹田市・北摂地域の家庭の中で、親と子が“分かり合えなくても、つながっていられる”空気が広がっていくことを願って、私たちは今日も子どもたちの声なき声に耳を傾けています。