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SNSに疲れてしまう子どもたち——“いいね”に縛られた自己肯定感の行方

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スマホをずっと見ているのに、元気がない?

「学校から帰ったらずっとスマホを見てる」
「SNSで誰かの投稿を見て落ち込んでるようだ」
「寝る前まで画面を見て、朝もすぐに確認している」

吹田市の心療内科でも、最近こうしたSNSによる“心の疲れ”を抱える子どもたちの相談が増えています。
LINE、Instagram、TikTok、X(旧Twitter)……。どれも「つながる」ためのツールであるはずなのに、子どもたちの中には、“つながり”が苦しみの原因になっているケースが少なくないのです。

SNS疲れとは?——つながりすぎて、自分を見失う

SNS疲れとは、他者との比較や反応への過敏さからくる心理的な疲労を指します。
特に思春期の子どもたちは、まだ自己像が安定しておらず、SNS上の反応がそのまま“自分の価値”と直結してしまいがちです。

たとえば:

  • 自分の投稿が「いいね」されないと不安になる
  • 友達のリア充投稿を見て落ち込む
  • 自分が入っていないグループ写真にショックを受ける
  • 常に「既読」「未読」「オンライン状態」を気にしている

こうした経験を繰り返すうちに、自分らしさを失い、他人の評価に合わせた“偽りの自分”を演じるようになってしまうのです。

なぜ思春期の子どもがSNSに振り回されやすいのか?

北摂地域の教育現場でも、SNSトラブルに関する相談は年々増加しています。
その背景には、以下のような思春期特有の心理があります。

  1. 承認欲求が高まる時期
    思春期は「自分って何者?」という自己確立の時期。
    他人からの「いいね」やコメントが、自分の存在を証明する材料になってしまいがちです。
  2. 他者との比較をしやすい
    SNSは“キラキラした一瞬”を切り取る場。
    他人の“良い面”ばかりを見てしまい、「自分は劣っている」と感じやすくなる傾向があります。
  3. デジタルネイティブだからこその“依存”
    生まれたときからスマホやネットがある世代。
    その便利さに慣れすぎて、「SNSなしでは不安」「誰ともつながっていないと怖い」と感じるようになります。

SNS疲れがもたらすこころへの影響

SNSによる疲労は、単なる一時的な不調ではなく、継続的なストレスとして心身に影響を及ぼすことがあります。

🌀 自己肯定感の低下:「いいねが少ない=自分には価値がない」
🌀 不安障害・うつ状態:「常に他人の目を気にして疲れる」
🌀 人間関係の分断:「SNS上では仲良くしているのに、実際は孤独」
🌀 不登校・昼夜逆転:「夜更かししてしまい、朝起きられない」「学校に行く気力が湧かない」

これらの状態が長引くと、学校生活や家庭生活にも大きな支障をきたすことがあります。

心療内科でのアプローチ:SNSとの“心地よい距離感”を育てる

ゆうゆうからだとこころのクリニックでは、SNS疲れを抱える児童思春期の患者さんに対して、以下のような支援を行っています。

  • SNSとの関係を見直すカウンセリング
    「どんなときに不安になるのか」「本当は何を求めているのか」などを整理し、自分自身の気持ちとSNSの使い方を“切り離して考える力”を育てます。
  • 認知行動療法的アプローチ
    「“いいね”の数が自分の価値を決めるわけではない」
    「比較してしまうときは、どういう考えが浮かぶ?」
    といったワークを通じて、物の見方を柔軟にし、自己評価を整える支援を行います。
  • 家族への情報提供・サポート
    SNSとの上手な付き合い方を、保護者にも共有しながら支援することで、家庭内でも安心感のあるルール作りができるようお手伝いします。

今日からできる!SNS疲れ対策のヒント

  1. SNSを“情報ツール”として再定義する
    「つながりのため」ではなく、「情報を集める・楽しむため」と目的を明確にする。
  2. “通知オフ”の時間をつくる
    就寝前1時間はスマホを手放す時間を作ることで、脳と心の回復時間を確保する。
  3. SNS以外の「安心できる場所」をつくる
    家族との会話、趣味、散歩、本を読むなど、自分だけのオフラインの居場所を意識的に持つようにしましょう。

最後に——“いいね”がなくても、あなたはあなたでいい

SNSは便利なツールである一方で、心が不安定な時期には傷つきやすい場所にもなり得ます。
だからこそ、子どもたちには、

「比較しなくても、価値はある」
「見られていなくても、ちゃんと大切にされている」
「SNSだけが“世界”じゃない」

というメッセージを伝え続けることが大切です。

吹田市・北摂地域でも、SNSに心を揺さぶられている子どもたちが少なくありません。
心療内科では、その揺れ動く気持ちにそっと寄り添い、安心して生きる力を支えています。