「学校に行きたくない」——不登校のサインに気づいたとき、親ができること
「今日、行きたくない…」——その一言から始まる家族の不安
朝起きてこない、制服を着たがらない、「お腹が痛い」と訴える。
最初は体調の問題だと思っていたけれど、数日、数週間と続くと「もしかして不登校かも」と気づく——
そんなご家庭のご相談が、吹田市や北摂地域でも年々増えています。
実際、児童思春期における不登校は、全国的に見ても深刻な社会課題です。
けれど、「不登校=悪いこと」「放っておけば治る」といった見方では、子どもが抱えている本当の苦しさに寄り添うことはできません。
なぜ学校に行けなくなるのか? 不登校の背景にあるもの
不登校の理由は、単純な“サボり”や“甘え”ではありません。
むしろ、目には見えにくい心の負荷が積み重なっているケースがほとんどです。
主な背景としては、以下のようなものが挙げられます。
- クラスや友人関係のトラブル(いじめ・孤立・無視など)
- 学業不振による劣等感やプレッシャー
- 発達特性により教室環境への適応が難しい(感覚過敏、切り替えの苦手さ)
- 教師との関係性の不安(厳しすぎる、過干渉など)
- 睡眠リズムや体調の乱れによる慢性的な疲労
- 親の期待に応えられないことへの自己否定感
特に思春期は、自分の気持ちをうまく言葉にできず、「ただ嫌だ」という形でしか表現できないことも多いのです。
保護者が焦らないために大切な3つの視点
子どもが学校に行けない日々が続くと、親としても不安になり、「なんとか登校させなければ」と焦ってしまいがちです。
しかし、そうした対応がかえって子どもを追い詰めることもあります。
心療内科の立場から、保護者の方に意識してほしい3つのポイントをご紹介します。
- 「登校再開」より「安心回復」を優先する
まずは「学校に戻すこと」を目標にせず、安心して過ごせる家庭環境づくりを第一に。 - 原因を詰めすぎない
「なんで行けないの?」「いじめられたの?」と問い詰めると、黙り込んでしまう子どもも多いです。
理由を探るより、「つらいのに教えてくれてありがとう」と気持ちを受け止める姿勢が大切。 - 家庭の“安全基地”としての役割を意識する
「学校に行けない自分はダメ」と思い込んでいる子どもに対して、「あなたはあなたのままで大丈夫だよ」と存在そのものを肯定する言葉がけを。
吹田市の心療内科で行っているサポート
ゆうゆうからだとこころのクリニックでは、不登校のご相談を多くお受けしています。
吹田市や北摂エリアのご家庭と連携しながら、以下のような支援を行っています。
- 子ども本人へのカウンセリング
「なぜ行けないのか」ではなく、「どう過ごしたいか」を一緒に考えます。 - 発達・心理的アセスメント
WISCなどの心理検査を通して、学習面や人間関係の困りごとを“見える化”します。 - 保護者支援(ペアレントセッション)
「親としてどう関わればよいか」「気持ちが折れそうな時どうするか」など、保護者のメンタルサポートも重視。 - 地域支援機関との連携(教育センター・フリースクールなど)
それぞれの子どもに合った居場所や学び方を一緒に探します。
“不登校”は、子どもからのサイン
学校に行けない子どもを見ていると、「このままで将来大丈夫なのか」と心配になりますよね。
でも、不登校は決して「終わり」ではありません。
むしろ、子ども自身が「このままじゃ無理だよ」というSOSを出している状態なのです。
この時期に、親ができることは、
- 無理に引っ張らず、「気持ちを尊重する」こと
- 「あなたは悪くない」と、罪悪感を手放せる言葉をかけること
- 「一緒に考えていこうね」と、並走者であることを伝えること
なのです。
北摂の子どもたちへ——一人じゃないよ
不登校は特別なことではありません。
誰にでも起こりうる「心の調整反応」であり、その子がサバイバルするための方法でもあるのです。
吹田市・北摂地域には、理解ある支援機関や学校、地域のネットワークがたくさんあります。
もし一人で抱えきれないと感じたときは、心療内科など専門家の力を借りてください。
私たちは、「今、ここにいること」自体を大切にし、子どもたちが少しずつ「自分らしく生きられる道」を一緒に探していきます。