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「SNSがやめられない」——児童思春期におけるデジタル依存と心のつながり

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画面の中に“居場所”を求める子どもたち

「スマホを取り上げたら大荒れになった」
「ずっとSNSを見ていて、宿題や食事にも集中できない」
「夜中までチャットや動画を見ていて、朝起きられない」

こうしたご相談が、吹田市の保護者の方々から増えてきています。
SNSや動画アプリは、もはや現代の子どもたちにとって“空気のような存在”ですが、使い方によっては心の健康に影響を及ぼす可能性があります。

児童思春期は、孤独感や自分への不安が強くなりやすい時期。
その空白を埋めるように、子どもたちはSNSの中に“つながり”や“安心”を求めるのです。

SNSに潜む2つの落とし穴

SNSや動画サイトの利用そのものが悪いわけではありません。
問題なのは、「依存状態」と「心の自己評価」に与える影響です。

  1. 時間のコントロールが効かなくなる
    → 「あと5分だけ」のつもりが数時間、夜ふかしや生活リズムの乱れに。
  2. 他人と自分を比較して落ち込む
    → SNSに投稿されるのは“キラキラした瞬間”ばかり。
    それを見て「自分だけ取り残されている」と感じてしまうことがあります。

また、匿名のコメントやグループ内のやりとりが原因で、見えないいじめや無視、悪口のトラブルに発展するケースも少なくありません。

なぜSNSに依存してしまうのか?

児童思春期の子どもがSNSにのめり込んでしまう背景には、次のような心理が関係しています。

承認欲求を満たしたい:

「いいね」やフォロワー数で自分の価値を測ろうとする

孤独をまぎらわせたい:

リアルな場での人間関係に自信が持てない

自分の感情を吐き出す場がない:

家庭や学校で本音を話せない

現実よりも安心できる世界に逃げたい:

トラブルやストレスからの逃避

つまり、SNSに依存するということは、“現実に居場所がない”という心の叫びなのです。

家庭でできるデジタル依存対策

吹田市では、学校や地域の育成センターでもスマホ・SNS教育が行われていますが、やはり家庭での関わり方が最も重要です。
以下のようなアプローチを、ぜひ取り入れてみてください。

使用時間ではなく“使い方”に注目する

ルールを押し付けるより、「何を見ているのか」「どう感じているのか」を対   話のきっかけに。

「やめさせる」より「他の選択肢を増やす」

 本人が楽しめる趣味・活動を一緒に見つける。

スクリーンフリータイムをつくる

夕食時や就寝前はスマホを置く時間とし、家族で過ごす時間を設ける。

失敗しても責めない

 「やっぱりダメね」と否定するのではなく、「どうしてそうなったのか」を一緒に考える姿勢が大切です。

心の空白を埋めるのは、つながりと安心

SNSにのめり込んでいる子どもに「やめなさい」と言うだけでは、根本的な解決にはなりません。
それよりも、「現実の中で安心できる居場所を感じられているか」「人と自然な関係が築けているか」がカギになります。

当院では、SNSやスマホ依存の背景にある不安や孤独に着目し、以下のような支援を行っています:

  • 心理士との感情整理・行動記録
  • 家族カウンセリングによる対話のサポート
  • 学校との連携(SNSトラブルへの対応含む)
  • 必要に応じた発達評価(ASD傾向の確認など)

吹田市の地域資源と連携しながら、「現実の中で自分らしくいられる時間」を少しずつ増やす支援を行っています。

大人が“画面の向こうの心”に気づける社会へ

子どもたちにとって、スマホやSNSは「大切な居場所」であることもあります。
しかしそれが、本人を苦しめるものになっているなら——
その画面の向こうにある“心の声”に気づける大人の存在が必要です。

「そんなに見てて、疲れない?」
「何が楽しかった?悲しかった?」
そんな問いかけが、SNSの世界に埋もれた感情をすくい上げてくれます。

私たちは吹田市で、子どもたちが「現実の中にも、安心できる人がいる」と感じられる関係づくりを、これからも続けていきます。