「ちゃんとしなきゃ」「ミスは許されない」——完璧主義の子どもたちと心の疲れ
100点じゃないと泣く子、「できない」が怖い子
「90点だったのに悔しがって泣く」
「少しでも字が曲がると消して書き直す」
「先生に注意されるのが怖くて学校に行けない」
こうした“真面目すぎる”“完璧すぎる”お子さんについてのご相談が、吹田市の心療内科にも多く寄せられています。
一見、優秀で手がかからないように見える子どもたち。
でも、その内側には「いつも気を張っている」「失敗が怖い」などの深いストレスが隠れていることも少なくありません。
完璧主義とは——高い基準を求めすぎてしまう心のクセ
完璧主義とは、「何ごとも完璧にしなければならない」「失敗=価値がない」といった極端な思考パターンのことを指します。
完璧主義の子どもに見られる傾向には:
- 結果より“失敗の回避”を重視する
- 他人からの評価を過剰に気にする
- 小さなミスにも強い自己否定感を持つ
- チャレンジより“安全”を選ぶ
結果が出せなければ最初からやらない
といったものがあります。
特に北摂の教育熱心な地域では、「頑張る子」「真面目な子」が評価される傾向があるため、“できる子”ほど内面にプレッシャーを溜めやすいのです。
なぜ子どもが“完璧”を目指してしまうのか?
子どもが完璧主義になってしまう背景には、いくつかの心理的な要因が絡んでいます。
親や教師の期待を強く感じている
「もっと頑張れ」「失敗しないようにね」といった言葉が、「失敗は許されない」「100点以外はダメ」といった極端な自己評価を育ててしまうことがあります。
過去の成功体験の副作用
「ずっと一番だった」「ずっと褒められてきた」子どもは、“期待を裏切ってはいけない”という無言のプレッシャーを抱えやすくなります。
HSP気質(感受性の強さ)
繊細でまじめな子ほど、周囲の目や空気を敏感に察知し、“完璧に振る舞わないと嫌われる”という誤った信念に苦しむことがあります。
完璧主義がもたらす“こころの疲れ”
完璧主義は、最初は努力や成果につながることもあります。
しかし、長期的には心と体の疲弊を招きやすく、以下のような問題を引き起こすこともあります。
- 不安症・抑うつ状態:「うまくいかなかったらどうしよう」と常に緊張
- 不登校・登校しぶり:ミスや評価が怖くて学校に行けなくなる
- 強迫的行動:手を何度も洗う、宿題を完璧に仕上げないと落ち着かない
- 達成感を感じにくい:何をしても「まだまだ」と満足できない
これらの症状が現れたときは、心療内科などの専門的なサポートを検討するタイミングです。
吹田市の心療内科でのアプローチ:柔らかい“自己基準”を育てる支援
ゆうゆうからだとこころのクリニックでは、完璧主義的傾向のあるお子さんに対して、以下のような支援を行っています。
- 認知のクセを整える(認知行動療法的アプローチ)
失敗=価値のない自分、ではないことを伝え、物事の捉え方を少しずつ柔らかくしていきます。 - 自己肯定感の育て直し
結果ではなく「過程」や「工夫した点」に目を向け、「できたことノート」などを活用して自分の努力に気づく習慣を育てます。 - 親御さんへの関わり方のアドバイス
「がんばれ」よりも「そのままでも大丈夫」「失敗しても味方だよ」といった無条件の承認の大切さをお伝えしています。 - 安心できる“失敗体験”の場をつくる
あえて小さな失敗を経験し、それでも大丈夫だったという成功体験を積むことで、「不完全でも生きていける」という感覚を育てていきます。
ご家庭でできる3つのこと——「がんばる」はほどほどに
完璧主義の子どもに対して、保護者ができる対応としては:
- 「すごい」よりも「うれしい」を伝える
成果を褒めるのではなく、その行動が与えてくれた気持ちを共有する
(例:「100点すごいね!」ではなく「がんばってたの見ててうれしかったよ」) - 「失敗しても大丈夫」と具体的に伝える
自分が失敗した話をあえて伝えることで、失敗をタブー視しない空気を作る - 「できたことリスト」を一緒に振り返る
1日1つ、「今日できたこと」「うまくやれたこと」を記録し、達成より成長に目を向ける習慣を育てる
最後に——“完璧”じゃなくても、あなたはあなたでいい
完璧主義は、子どもが持って生まれた繊細さや誠実さの裏返しでもあります。
だからこそ、その特性を否定せず、柔らかく包み込む環境が必要です。
吹田市・北摂地域のご家庭でも、「がんばり屋さん」のお子さんに疲れが見えたときは、「少し立ち止まること」や「誰かに頼ること」ができるような場をつくってあげてください。
心療内科では、そうした“がんばりすぎる心”をそっと緩める支援を行っています。