「怒りが爆発する」「泣き止まない」——感情の波にのまれる児童思春期の子どもたちへ
「ちょっとしたことで怒鳴る」「すぐに泣いてしまう」——その裏にあるもの
「宿題のことで注意したら、突然怒鳴り返してきた」
「朝の支度中に、兄弟とケンカになって大泣きして登校できなかった」
「機嫌の浮き沈みが激しくて、どう対応していいかわからない」
吹田市や北摂エリアにお住まいの保護者の方から、こうしたご相談を受けることが増えています。
思春期にさしかかる小学生・中学生の中には、「感情の起伏が激しく、自分でもコントロールできない」ことに悩む子どもが少なくありません。
怒り、悲しみ、不安——それらの感情は本来、誰にでも自然にあるものですが、「感じすぎてしまう」「飲み込まれてしまう」ことが続くと、本人も周囲も大きなストレスを感じてしまいます。
感情コントロールが難しい理由とは?
児童思春期は、脳の発達がアンバランスな時期です。
特に「感情を生み出す部分(扁桃体)」が急激に活性化し、それを抑える「前頭前野(理性や判断の部分)」がまだ未成熟であるため、感情が先走りやすいのです。
また、以下のような特徴を持つ子どもほど、感情の波に振り回されやすくなります:
- HSC(Highly Sensitive Child)傾向がある
- ASDやADHDの特性がある
- 家庭や学校でのストレスが強い
- 言葉で自分の感情を伝えるのが苦手
その結果、「言いたいことが言えない」「分かってもらえない」という不満が蓄積し、爆発的な怒りや涙となって表出するのです。
「感情は悪いもの」ではないと伝えることから
私たち大人がまず理解しておくべきは、
感情そのものは悪ではないということです。
- 怒っていい
- 悲しんでいい
- 不安になっていい
大切なのは、「その感情をどう扱うか」というスキルや環境を身につけていくことです。
「怒っちゃダメ」「泣くのをやめなさい」と否定するのではなく、「どんな気持ちだったの?」「そう思ったんだね」と受け止めることから、子どもの心は少しずつ落ち着きを取り戻していきます。
心療内科・精神科での支援とは?
吹田市の心療内科として、当院では感情のコントロールに悩むお子さんに対して、以下のような支援を行っています:
- 気持ちを言葉にするトレーニング(感情ラベリング)
- 怒りを鎮めるスキルの練習(アンガーマネジメント)
- 身体の反応に気づく方法(呼吸法・筋弛緩法)
- 行動の前後を振り返るワーク(ABC分析など)
- 必要に応じて薬物療法(ADHDや不安症が背景にある場合)
また、保護者や学校との連携も大切にしながら、北摂全域の支援体制とつながりを持って支援を行っています。
家庭でできる声かけ・工夫
感情のコントロールは、一朝一夕で身につくものではありません。
家庭での日々の関わりが、子どもにとって最も重要な“学びの場”になります。
「否定」より「共感」
×「また怒ってるの?」
〇「何かイライラすることがあったんだね」
「命令」より「選択肢」
×「静かにしなさい」
〇「気持ちを伝える方法、どうしようか一緒に考えてみよう」
「全体」より「具体的」
×「もっと落ち着いて」
〇「深呼吸を3回してから話そうか」
「感情と仲直りする」ことが自分を大切にする一歩
感情は、子どもにとって“ナビゲーション”のようなもの。
怒りや涙は、「何かが傷ついたよ」「助けてって言ってるよ」という、心の内側からの大切なメッセージです。
その声に耳を傾け、自分の気持ちを理解しようとする姿勢を育てることが、自己肯定感と他者との関係性を築く土台となります。
吹田市や北摂地域の子どもたちが、
「自分の感情と仲良くなれる場所」「安心して気持ちを出せる居場所」として、当クリニックがその一端を担えればと願っています。